タンパク質リン酸化酵素は、著名な抗がん薬の標的タンパク質である。しかし、多くの薬剤は、共通したATP結合部位に結合するため、薬剤の特異性が低くなる。そこで、ATP結合部位でないところに結合する「アロステリック薬剤」を大規模なシミュレーションを使って探索する研究を行った。まず、MEK1では、大規模なシミュレーションを行っても、その柔軟性が低いために、すでに知られているアロステリックサイトしか見つからなかった。次に、より大きな柔軟性を持つEGFR kinaseの計算を行ったところ、より多様な薬剤結合様式を持つことが示され、アロステリック薬剤の設計でのシミュレーションの有効性が示された。
|