研究実績の概要 |
オートファゴソームの生化学的単離のため、STX17ドミナントネガティブ変異体(GFP-STX17dNTR)のDOX誘導細胞(Uematsu et al., 2017, JBC)を用いてオートファゴソームを蓄積させ、OptiPrep密度勾配遠心によるフローテーションを行った。フローテーション後のトップフラクションにオートファゴソームが濃縮されていることを確認したので、ここからFLAGタグ(FLAG-LC3)による精製を行い、質量分析による外膜候補因子の同定を試みたが、オートファゴソーム-リソソーム融合に関わる因子は得られなかった。この原因として、精製オートファゴソーム画分に含まれるオートファゴソーム量が非常に少なく(GFP-STX17dNTRで蓄積させても絶対量が非常に少ない)、多段階の精製ステップを経ても他オルガネラの混入に埋もれてしまうためと考えられた。また、この方法ではオートファゴソーム外膜に局在する因子とオートファゴソーム内に局在する因子の区別がつかないため、別の方法として外膜因子の特異的ビオチン化(化学修飾)を行い、ストレプトアビジン磁気ビーズによる精製・濃縮を行った。特異的にビオチン化されたタンパク質の精製が確認されたため、現在質量分析による同定を進めている。さらに、同研究グループでのスクリーニングから、オートファゴソーム-リソソーム融合に関わる新規SNAREとしてYKT6が同定された。YKT6は既知のオートファゴソームSNAREであるSTX17とは別々に機能しており、オートファゴソーム-リソソーム融合には異なる2種類のSNAREシステムが使われていることが示唆された。
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