研究課題
本研究では、細胞内Mg2+調節やがん悪性化に関わる分子PRLに生じていることを見つけたCysリン酸化の重要性についての解析を進め、これまでほとんど報告事例すら存在しなかったCysリン酸化に関する解析を進め、タンパク質機能制御のまったく新たな分子機構としてCysリン酸化の重要性を明確に位置付けることを目指している。前年度までの研究成果として、PRLのCysリン酸化・脱リン酸化が細胞外Mg2+レベルの変化に応じてダイナミックに調節されていることや、このときPRL自身のタンパク質量も大きく変化していること、さらに少なくともin vitroではATPがリン酸ドナーとして機能しうることなどを明らかにしてきた。細胞内で機能しうる生理的なリン酸ドナーを見つけるためATP以外のいくつかの核酸などもテストしてみたが、ATPよりも香炉伝きにPRLをリン酸化できるものは見つからなかった。PRLは脂質アンカーによって細胞膜に局在しているので、PIP2などの細胞膜に局在しているリン酸化脂質が生理的なドナーとして働いている可能性が考えられた。また、mTOR阻害剤のラパマイシン刺激応答性に起こる顕著なPRLの発現増加がmRNAの転写レベルで起こっていることも明らかにした。しかしその一方で、上流で機能していることが想定されたAMPキナーゼの活性化剤や阻害剤を用いた解析ではPRL発現に顕著な影響は見られず、少なくとも細胞外Mg2+量応答性のPRL発現調節はAMPキナーゼを介するのとは異なる仕組みで起こっていることが示唆された。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)
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