研究課題
小胞体ストレスは、小胞体におけるタンパク質構造異常に際する防衛応答であると考えられてきた。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeでの小胞体ストレス応答においては、小胞体ストレスセンサーIre1が小胞体ストレスに応じて活性化し、HAC1 mRNAをスプライシングにより成熟させ、その産物が小胞体の機能を回復させるべく遺伝子発現誘導を惹起する。本研究では、出芽酵母、メタノール資化性酵母Pichia pastorisおよび耐熱性耐熱性酵母Kluyveromyces sp.を用い、どのような局面において小胞体ストレス応答が引き起こされるのかの検証を行った。Kluyveromyces sp.では高温ストレス時に小胞体ストレス応答マーカー遺伝子KAR2やERO1の発現が誘導され、耐熱性における小胞体ストレス応答経路の寄与が示唆された。また、出芽酵母においては、ジオキシックシフト(培地内の糖分が枯渇して、酵母の増殖が発酵モードから呼吸モードに切り替わる)にてIre1が活性化してHAC1 mRNAスプライシングが誘導されることが明らかになった。この事象は、呼吸の活発化におけるミトコンドリア伸展に大きく寄与する。また、Ire1は小胞体内腔の状況だけでなく、そのキナーゼドメインにてサイトゾルの状態(ADP/ATP比)をモニターして、活性が制御されることも明らかとなった。この事象は、小胞体ストレス応答経路が細胞全体の状況をモニターしていることを強く示唆するものである。
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