研究課題
挑戦的萌芽研究
細胞を構成する様々な生体膜には多様な内在性膜タンパク質が存在する。真核細胞では、内在性膜タンパク質はその疎水特性によって、小胞体に標的化されるのがデフォルトである。しかし、疎水特性を持ちながら小胞体に標的化されない膜タンパク質が存在する。ここではそのための、膜タンパク質小胞体回避の分子機構を追求した。タンパク質N末端ミリスチル化酵素が、ペルオキシソーム膜タンパク質ABCD3の小胞体標的化を抑制する因子本体であることを解明した。
分子細胞生物学
真核細胞の中では、多種の膜タンパク質がそれぞれ独自の機能する領域で役割を発揮することが必要である。膜タンパク質のその疎水性特性から、小胞体に向かう巧妙な機構によって大半が小胞体に配置される。しかし、小胞体からゴルジ体を経て細胞膜やリソソームに至る膜系以外の細胞小器官の膜タンパク質は、この小胞体標的化機構を回避する。この回避機構に関わる因子を明らかにすることができた。それは、タンパク質の先頭N末端に脂肪酸であるミリスチル基を付加する酵素であった。