研究課題/領域番号 |
16K14731
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
後藤 聡 立教大学, 理学部, 教授 (60280575)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | GPI |
研究実績の概要 |
glycosylphosphatidylinositol(GPI)は、タンパク質を膜に係留させるために用いられる糖脂質である。GPIによって係留される膜タンパク質は、細胞接着や受容体、そのリガンドなど多岐にわたるため、GPI生合成が異常になると細胞・組織・個体は大きなダメージを受ける。このようなGPIの生合成は、Pigと呼ばれる一連の酵素による多くの反応を介して行われる。今まで、Pig酵素群はすべて小胞体に存在すると言われてきた。しかし、私達は、ショウジョウバエの組織においてはPigBと呼ばれる酵素だけが核膜に局在することを見出した。本研究では、PigBが核膜に局在する必要があるのかを検討することを目的としている。すなわち、活性は有しているが核膜ではなく小胞体に局在するPigB(小胞体局在型)を作成し、そのPigB(小胞体局在型)はPigB欠失変異体をレスキューできるかを検討する。すでに、本来のPigB(核膜局在型)はPigB欠失変異体をレスキューできることは確認済みである。本年度は、PigBが核膜に局在するために必要な配列を同定することができた。さらに、その配列に変異を導入したPigB(小胞体局在型)を作成し、その酵素活性を測定したところ、十分に活性を保持していることが確認された。次に、そのPigB(小胞体局在型)を発現させるためのトランスジーンをもつショウジョウバエ系統を作成した。今後は、このPigB(小胞体局在型)がPigB欠失変異体をレスキューできるかを検討し、PigBが核膜に局在することが必要であるかを調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PigBの局在配列を同定することができ、さらに活性を保持したPigB(小胞体局在型)の作成にも成功した。また、そのPigB(小胞体局在型)を発現させるためのトランスジェニックショウジョウバエ系統の作成にも成功した。この系統を用いることで、平成29年度中には、PigB(小胞体局在型)がPigB欠失変異体をレスキューできるかを明らかにすることができ、本研究の目的は達成できるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
PigB(小胞体局在型)またはPigB(核膜局在型)が、PigB欠失変異体をレスキューできるかを検討する。そのことで、PigBが核膜に局在する必要があるかを明らかにすることができる。PigBの核膜局在が必要であることがわかった場合には、その理由を検討する必要がある。現在、その理由についてはいくつかの仮説をたてて検証する準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が概ね順調に進行しているので、PigBの核膜局在の意義を検討する必要性がでてきた。そのためにいくつかの仮説をたて、現在、その検証実験に取り掛かっている。本研究にとって、PigBの核膜局在の意義を明らかにすることは重要であるので、そのための追加実験は必要である。そのための試薬、器具等の購入費用として次年度使用額を充てようと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
PigBの核膜局在の意義を検討する実験の試薬、器具の購入に充てる。
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