核移植により、胎盤を含むすべての組織になり得る全能性細胞が形成される。一方、iPS細胞やES細胞は多くの組織・細胞に分化することができるが、胎盤に分化することはできない。私達は、ES細胞と全能性を有する4細胞期胚との遺伝子発現パターンを比較し、後者で発現の高い遺伝子を選び、これらの候補遺伝子が全能性細胞のマーカーになり得るかどうかを検討した。その結果、ある遺伝子の発現レベルが高いES細胞は胚盤胞で将来胚になる内部細胞塊と将来胎盤になる栄養外胚葉の両方に分化する確率が高いことが示された。このように、本研究の結果は、体細胞から全能性細胞を作製する試みに大きなヒントを与えるものである。
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