①クロマチン修飾あるいはDNA結合因子が結合したゲノム領域の識別と③Coincidence detection(同時検出) 前年度までに概念実証実験を行い、RNA分子とタンパク質分子間の相互作用をはじめとする、多分子対多分子の相互作用をin situで検出することに成功した。さらに、特定の遺伝子座(NEAT1)上で形成される、核内構造体の構成タンパク質とNEAT1転写開始上流域500bpとの相互作用も検出できた。 よって、最終年度は②標的ゲノムの特定に集中して、ゲノム領域を170bp程度の解像度で特定することを目指した。標的ゲノムを認識するプローブとして、当初はCRISPR/Cas9システムを考えていたが、制御領域にCas9が結合すると下流の遺伝子発現に影響を及ぼすため、この方法は中断した。そこで、オリゴDNAプローブ(LNAプローブ)により、標的ゲノム(通常2箇所)を検出する条件検討を行った。しかし、今のところ最適化に至っていない。NEAT1やXISTの転写上流域を標的とするプローブと、P300あるいはヒストンH3K4メチル化を認識する抗体との相互作用検出実験では、10箇所前後が認識された。これは明らかに非特異的なプローブ結合によると考えられる。現在は、プローブのデザインをはじめ、ハイブリダイゼーション条件の再検討を行い、1)確実に2箇所の標的ゲノム領域を検出したうえで、2)1分子対1分子の相互作用の同時検出ができるように本法の改善中である。 以上、本課題では特定ゲノム領域における、多分子対多分子の相互作用をin situで検出することはできたが、最終的な目標である1分子対1分子の相互作用を検出するには至らなかった。
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