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2016 年度 実施状況報告書

プラスチドシグナル研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 16K14749
研究機関千葉大学

研究代表者

華岡 光正  千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (30508122)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードプラスチドシグナル / 葉緑体 / GUN1
研究実績の概要

光合成や代謝など植物の必須機能を支える上で、核と葉緑体間の双方向シグナル伝達は重要な役割を果たすが、とりわけ葉緑体の状態を核に伝えるプラスチドシグナルについては、現象論的には多くの報告があるものの、分子メカニズムはほとんど明らかにされていない。本研究では、特に葉緑体の中心制御因子と考えられているGUN1タンパク質が結合するターゲットの同定と、葉緑体から放出されるシグナル分子の特定を目的とした。また、下流の核遺伝子の発現調節についても、これまでに示されてきた転写制御の側面に加えて、プロモーターDNAのメチル化やヒストン修飾など、エピジェネティックな制御も加えた新モデルの提案を目指して研究を行った。
プラスチドシグナル伝達の下流ではたらく核遺伝子の発現制御においては、特定の転写因子による特異的な調節に加え、ヒストン修飾によるゲノムワイドな調節も存在する可能性について検討を行った。ELISA法による解析の結果、葉緑体の状態に依存してヒストンH3の27位のリジン残基がトリメチル化されるなど、プラスチドシグナルによる特異的なヒストン修飾の変化を検出することができた。このことからプラスチドシグナル下流にもヒストン修飾などのエピジェネティック制御が働いている可能性が示唆された。また、プロモーター領域のDNAメチル化解析や、ChIP法によるGUN1ターゲット領域の同定に向けたスクリーニングについても、実験系の確立と予備データの取得が進み、2年目に行う大規模解析に向けた準備が整ったと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度においては、プラスチドシグナルによる核遺伝子発現制御を明確に捉えることのできる処理条件を最適化し、実際に特異的なヒストン修飾の変化を検出できたことで、これまでにない新しいレトログレード制御様式の一面を見いだすことができた。また、GUN1ターゲットの同定やシグナル分子の探索についても予備検討を十分に行うことができた。

今後の研究の推進方策

当初の研究目的・研究計画にしたがって2年目の研究を進める。現状で大きな問題はないが、個々のテーマをうまく並行させながら効率的・効果的に研究を進める。詳細な研究方針や内容については今後の実験結果を踏まえながら微調整するが、総じて当初計画を上回る成果を挙げられるよう尽力する。

次年度使用額が生じた理由

全体予算の関係で備品の購入を見送ったため、また、今年度は実験系の確立が主となり消耗品の使用が限定的であったため。

次年度使用額の使用計画

次年度のかなり早い段階で各テーマにおいて大規模解析を予定しており、消耗品として高額の執行を予定している。また、成果発表も多数計画しており、そのための旅費も必要となる。したがって、翌年度分として請求した助成金と合わせ十分有効に使用できると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] CyanoBase: A large-scale update on its 20th anniversary.2017

    • 著者名/発表者名
      Takatomo Fujisawa, Rei Narikawa, Shin-ichi Maeda, Satoru Watanabe, Yu Kanesaki, Koichi Kobayashi, Jiro Nomata, Mitsumasa Hanaoka, Mai Watanabe, Shigeki Ehira, Eiji Suzuki, Koichiro Awai and Yasukazu Nakamura
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Research

      巻: 45 ページ: D551-D554

    • DOI

      10.1093/nar/gkw1131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Abscisic acid participates in the control of cell-cycle initiation through heme homeostasis in the unicellular red alga Cyanidioschyzon merolae.2016

    • 著者名/発表者名
      Yuki Kobayashi, Hiroyuki Ando, Mitsumasa Hanaoka and Kan Tanaka
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 57 ページ: 953-960

    • DOI

      10.1093/pcp/pcw054

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 単細胞紅藻C. merolaeのレトログレードシグナルに依存した転写制御2017

    • 著者名/発表者名
      大原ひかる、安藤洸幸、小林勇気、今村壮輔、田中寛、五十嵐雅之、内海龍太郎、華岡光正
    • 学会等名
      第58回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      鹿児島大学(鹿児島県、鹿児島市)
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-16
  • [学会発表] 葉緑体内の光環境に依存した光合成遺伝子発現調節におけるCSKの役割2016

    • 著者名/発表者名
      猪狩温、林健太郎、横山栞、安間美里、華岡光正
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県、横浜市)
    • 年月日
      2016-12-02 – 2016-12-02
  • [学会発表] 様々な環境下におけるプラスチドシグナルに依存した核遺伝子の転写制御2016

    • 著者名/発表者名
      舩城桐子、猪狩温、癸生川奈央子、安間美里、石井健雄、華岡光正
    • 学会等名
      日本植物学会第80回大会
    • 発表場所
      沖縄コンベンションセンター(沖縄県、宜野湾市)
    • 年月日
      2016-09-16 – 2016-09-16
  • [学会発表] Chloroplast-dependent nuclear gene regulation: evolution of retrograde signaling.2016

    • 著者名/発表者名
      Mitsumasa Hanaoka
    • 学会等名
      The 13th International Colloquium on Endocytobiology and Symbiosis
    • 発表場所
      Inamori Hall, Kyoto Prefectural University
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-13
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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