• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

新規イメージング法とホームメイド薬剤による植物の不等分裂機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K14753
研究機関名古屋大学

研究代表者

植田 美那子  名古屋大学, 理学研究科(WPI), 特任講師 (20598726)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード植物受精卵 / ライブイメージング / 化合物スクリーニング
研究実績の概要

植物において、体軸の形成は受精卵の細胞内極性にまで還元されるが、受精卵を極性化させるしくみについては、これまでほとんど分かっていなかった。そんななか、私はシロイヌナズナの受精卵極性に必須の転写因子群を独自に見出し、これらを用いてライブイメージングや化合物スクリーニングを行うことで、受精卵を極性化させる分子メカニズムの理解を目指した。本年度は、シロイヌナズナのin vitro胚珠培養系と、組織深部の高精細な観察を可能とする二光子顕微鏡システムを組み合わせることで行った受精卵の内部動態の精緻なライブイメージングを行った。このライブイメージング系と、細胞骨格の特異的な阻害剤の投与実験を組み合わせることで得た成果を論文として公表するとともに(Kimata et. al., 2016)、多くの国内外の学会などでも発表した。また、藤研究機関に所属する化学者らが独自に作成した化合物群を用いてスクリーニングを行った結果、植物細胞の分裂を特異的に阻害する新規化合物を発見し、その成果も論文として公表した(Nambo et. al., 2016)。さらに、精細胞と卵細胞のそれぞれから受精卵に持ち込まれるSSPとHDG11/12が、WRKY2転写因子を介在することで協力し、受精卵でWOX8遺伝子の発現を誘導することで、受精卵の極性化と胚のパターン形成を制御するメカニズムも明らかにした。詳細な遺伝学的および生化学的解析を完遂した結果、論文発表に至った(Ueda et. al., 2017)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

植物細胞の精緻なライブイメージング系を立ち上げ、それと化合物スクリーニングとの融合によって得た成果を既に論文として発表した。加えて、受精卵の極性化のメカニズムを明らかにした論文も2報、報告するに至った。

今後の研究の推進方策

当初の計画以上に研究が進展しているので、このまま受精卵極性の網羅的なライブイメージングや阻害剤の解析を続ける。

次年度使用額が生じた理由

ライブイメージングに立脚した化合物スクリーニングの結果、予想よりも早く有効な薬剤が見つかったので、その分、ライブイメージングに必要な消耗品(ガラスボトムディッシュなど)の使用量が想定よりも少量で済んだ。

次年度使用額の使用計画

複数の阻害剤が得られたので、それらの標的分子の同定を行うための消耗品(質量分析試薬など)も多く必要となる。したがって、翌年度分として請求した助成金と合わせた金額をそれらの購入に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Transcriptional integration of paternal and maternal factors in the Arabidopsis zygote.2017

    • 著者名/発表者名
      Ueda M, Aichinger E, Gong W, Groot E, Verstraeten I, Vu LD, De Smet I, Higashiyama T, Umeda M, Laux T.
    • 雑誌名

      Genes & Development

      巻: 31 ページ: 617-627

    • DOI

      10.1101/gad.292409.116.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Cytoskeleton dynamics control the first asymmetric cell division in Arabidopsis zygote.2016

    • 著者名/発表者名
      Kimata, Y., Higaki, T., Kawashima, T., Kurihara, D., Sato, Y., Yamada, T., Hasezawa, S., Berger, F., Higashiyama, T., and Ueda, M.
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 113 ページ: 14157-14162

    • DOI

      10.1073/pnas.1613979113

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Combination of synthetic chemistry and live-cell imaging identified a rapid cell division inhibitor in tobacco and Arabidopsis thaliana.2016

    • 著者名/発表者名
      Nambo M, Kurihara D, Yamada T, Nishiwaki-Ohkawa T, Kadofusa N, Kimata Y, Kuwata K, Umeda M, and Ueda M
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology.

      巻: 57 ページ: 2255-2268

    • DOI

      10.1093/pcp/pcw140

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 植物の受精卵はどのように極性化するのか?2017

    • 著者名/発表者名
      植田美那子,木全祐資,栗原大輔,山田朋美,東山哲也
    • 学会等名
      第58会植物生理学会年会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-18
  • [学会発表] Live-cell imaging of the intracellular dynamics underlying the zygote polarization in Arabidopsis2016

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kimata, Daisuke Kurihara, Takumi Higaki, Tomomi Yamada, Seiichiro Hasezawa, Tetsuya Higashiyama and Minako Ueda
    • 学会等名
      27th International Conference on Arabidopsis Research (ICAR2016)
    • 発表場所
      慶州 (韓国)
    • 年月日
      2016-06-29 – 2016-07-03
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi