研究課題
植物において、最初期に形成される体軸である上下軸の形成は、受精卵の細胞内極性にまで還元されるが、受精卵を極性化させるしくみについては、これまでほとんど分かっていなかった。そんななか、私はシロイヌナズナの受精卵の極性化や不等分裂に必須の転写因子群を独自に見出し、これらを用いてライブイメージングや化合物スクリーニングを行うことで、受精卵を極性化させる分子メカニズムの理解を目指した。本年度は、シロイヌナズナのin vitro胚珠培養系と、組織深部の高精細な観察を可能とする二光子顕微鏡システムを組み合わせ、受精卵の内部動態の精緻なライブイメージングを行った。この新手法を駆使したことで、植物細胞のほとんどを占めるオルガネラである液胞が、受精卵の非対称分裂の制御に必須であることを発見した(Kimata et. al., 2019)。また、化合物スクリーニングの結果としても、受精卵の不等分裂を阻害する新規の薬剤を複数見出した。これらの薬剤と、受精卵のライブイメージング系と組み合わせた解析を行ったことで、これらが微小管の配向や細胞板の形成といった特異的な事象を制御することを突き止めた。これらの成果について、現在論文を執筆中である。さらに、研究代表者が発見した胚発生の制御因子や、確立した新規ライブイメージング手法について、多くの国内外の学会で発表するとともに、論文発表にも至った(Ueda and Berger, 2018)。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Current Opinion in Plant Biology
巻: 47 ページ: 16~21
10.1016/j.pbi.2018.08.005
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻: 116 ページ: 2338~2343
10.1073/pnas.1814160116