研究課題/領域番号 |
16K14759
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
園池 公毅 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30226716)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 光合成 / 果実 / 種子 / 種皮 / 光環境 |
研究実績の概要 |
これまで、われわれは、主にソラマメの果実の表面の光合成を種皮の光合成と比較することにより、通常の環境において光を受けている果実の表面の光合成は、葉の光合成と基本的には変わらない一方で、通常は莢に包まれた環境におかれている種皮の光合成は、極めて特殊であり、葉の光合成とは大きく異なることを見出していた。平成28年度の研究においては、このような種皮の光合成の特殊性がどこまで一般的な現象であるかを調べた。 具体的には、一年を通して入手可能なスナップエンドウとインゲンについて、莢の表面の光合成と、中の豆の種皮の光合成を比較検討した。その結果、従来ソラマメの種皮について見出していた特殊性、すなわち、極めて弱い光で光合成が飽和する、光化学系IIの最大量子収率が低い、光化学系Iのアンテナに異常が見られる、という三点は、必ずしも、スナップエンドウやインゲンでは見られないことが明らかとなった。また、スナップエンドウとインゲンを比較した場合、インゲンの光合成の方がより特殊化しており、光合成の特殊性という観点から見ると、ソラマメ>インゲン>スナップエンドウという順番の勾配が見られることが明らかとなった。 この理由として、莢の光の透過性が重要である可能性を考え、莢の透過率を比較すると、ソラマメ<インゲン<スナップエンドウの順番となることから、種皮が通常受けている光量が減少するにつれて光合成が特殊化する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究自体は問題なく進捗しているが、当初予定していた研究成果の発表には至っていない。今後は、研究成果をきちんとした形で発表することが最重要課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗状況の項でも述べたように、現時点では研究成果の発表がなされていないが、その原因は、主に、研究材料、特にソラマメを利用できる期間が限定されている点にある。また、インゲンについては、その豆が小さいことによる測定上の困難も存在している。測定上の困難に関しては、回数を重ねることで測定に習熟するとともに、データの平均化などを通してノイズを減らすことなどにより対処可能であると考える。ソラマメの利用期間が限られる点については、畑での栽培なども試みたが、結局、果実の利用期間を広げることにはつながらず、スーパーなどを通して、南北に異なる産地のソラマメを入手することにより、測定できる期間を長くするしかないと考えている。この辺りは、研究速度を劇的に上げる方策は見つからないが、遅くても着実に研究を進めていくことで成果を上げていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後の研究の推進方策の項で述べたように、研究材料、特にソラマメを利用できる期間が限定されており、今年度においては、産地の異なるソラマメをうまく組み合わせて使用するなどの対処が十分にできなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由の欄に述べた原因については、次年度は改善されることが期待される。
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