食虫植物ハエトリソウは、葉を閉じることによって小動物を捕らえ、消化、吸収して栄養としている。葉が閉じるには、葉の上に生えた感覚毛を約30秒以内に2回刺激する必要がある。すなわち、ハエトリソウは最初の刺激を約30秒間記憶していることになる。カルシウムセンサータンパク質を発現する形質転換ハエトリソウを作出し、刺激と細胞質カルシウムイオン濃度の時空間変動を解析することに成功した。その結果、最初の刺激で濃度が感覚毛から葉身に向かって上昇した。2回目の刺激で濃度が閾値を超えることで葉が閉じた。その他の実験結果も勘案し、細胞質カルシウムイオン濃度変化がハエトリソウの記憶の分子機構であることがわかった。
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