研究課題/領域番号 |
16K14765
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 雅宜 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00332271)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | mRNA / タンパク質 / 細胞分裂 |
研究実績の概要 |
真核生物の形態形成では,細胞分裂の制御は根源的かつ必須な現象である.しかし,動植物間では分裂様式は大きく異なり,植物ではCell plate 形成を介した分裂様式を,動物では収縮環形成を介した分裂様式をとる.いずれの分裂様式においても,細胞骨格系と細胞内タンパク質輸送系に関わる分子群が重要な機能を果すことが知られているが,その知見は,もっぱらタンパク質レベルのものに限られており,mRNA レベルでの知見はほぼ皆無である.本研究課題では,内在性mRNA とタンパク質を同時に,ライブで一分子可視化できる蛍光検出法を開発し,細胞分裂において機能する分子群のmRNA/タンパク質の両レベルでの制御を時空間的に明らかにして行く.動物細胞の収縮環形成に関わる分子群の解析では,ヒトの線維芽細胞HEK293Tおよび上皮性細胞MCF7などを実験材料として用い,収縮環構造体を構成するアクチンと密接な相互作用を持つAlpha-actinin 1(ACTN1)およびアクチンのリモデリングに関わるmDia2などの細胞骨格系分子群に注目した.これらのタンパク質分子を可視化するために,赤色蛍光タンパク質mCherryやtagRFPとの融合遺伝子を作製し,発現べクターに組み込んだ.HEK293TおよびMCF7細胞において一過的に発現させたところ,分裂時に確かに収縮環近傍に局在することが分かった.次に,ACTN1とmDia2のmRNAを可視化するために,各々のmRNA内の2箇所の部位を認識するRNA結合タンパク質Pumの変異体を4種類作製した.それぞれをGFPのN末断片,C末断片との融合遺伝子を作製し,発現べクターに組み込んだ.これらのプローブを動物細胞において一過的に発現させたところ,いずれの場合も再構成されたGFPの蛍光は検出されなかった.現在、その原因を詳細に検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
mRNAを可視化するために作製したプローブを発現させた場合,植物細胞,動物細胞,いずれの場合も蛍光検出に至っていないため.
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今後の研究の推進方策 |
mRNA可視化プローブに関する改良を精力的に進める.具体的には,各mRNAに対して,変異型Pumの認識部位の候補を再度,多数設定し,その検出能を比較検討する.同時に,認識部位間の距離においても比較検討を行い,プローブの検出能の向上に努める.植物細胞系および動物細胞系の両実験系において,注目している分子のmRNA とタンパク質の同時一分子可視化解析を行い,細胞分裂時に機能する分子群のmRNA/タンパク質の両レベルでの制御を時空間的に明らかにして行く.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に遅延が生じたため,研究実施期間を2年から3年に変更した.これに伴い,当該助成金の使用計画も変更となったため.
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