研究課題
細胞呼吸や光合成の中枢として機能するミトコンドリア(以下mt)や葉緑体(以下cp)は独自のゲノムをもつ。これらmt/cpゲノムはDNA-タンパク質複合体(核様体)を形成している。mt/cp核様体は、mt/cpDNAの折り畳み、複製、組換え、修復、遺伝子発現や遺伝などの機能ユニットとして重要であると提唱されてきたが、その動態制御については殆ど知見がなかった。本研究ではマイクロ流体プラットフォームを基盤とするライブイメージング技術によってcp核様体の動態を詳細に捉えるとともに、cp核様体の形態異常を示す変異体群の順遺伝学的解析およびRNAseq解析をおこなうことで、葉緑体の染色体ともいうべきcp核様体の動態制御のメカニズムを、遺伝子レベルで明らかにすることを目指した。葉緑体核様体の形態異常変異体のひとつであるmonokaryotic chloroplast (moc)1の解析においては、その原因遺伝子の特定と機能解析をおこなった結果、葉緑体におけるホリデイジャンクション解離酵素の発見につながった。この成果はKobayashi et al., Science 2017として発表した。また葉緑体核様体の動態をマイクロ流体デバイスによって捉えるプロジェクトについては、G1期では球状構造体として観察される葉緑体核様体が、葉緑体分裂にともなって徐々に解体され、葉緑体全体にひろがるネットワーク状構造に変化していく様子を、ライブイメージングによって初めてとらえることに成功し、葉緑体核様体が柔軟なネットワークであることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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