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2017 年度 実施状況報告書

イオン液体で切り開く新たな構造生物学

研究課題

研究課題/領域番号 16K14771
研究機関宇部工業高等専門学校

研究代表者

島袋 勝弥  宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70618446)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードイオン液体 / 走査型電子顕微鏡
研究実績の概要

本研究の目的は、イオン液体を利用した電子顕微鏡法、特に安全かつ簡便な試料作製法の構築である。イオン液体は、常温常圧で液体となる「塩」のことで、導電性を持つ。この特性のため、イオン液体を塗布した試料は、金属蒸着せずに走査型電子顕微鏡(SEM)で直接観察できる。また、イオン液体は真空中でも液体状態を保つために、生体試料の乾燥を防ぐ保護剤の役割も持つ。
平成29年度は、金薄膜と無蒸着試料の2次電子コントラスト差を利用し、試料を影絵のように観察する走査型電子顕微鏡法(以下、シルエット法と略)の検証を行った。
SEMでは電子線照射に伴い、試料表面から発生する2次電子を検出する。生体試料は元素番号が小さい原子からなるため、2次電子が発生しにくい。そのため、通常は試料表面を薄い重金属膜(Au, Ptなど)でコートし、2次電子発生を増強する。また金属蒸着により導電性が得られ、SEM観察の妨げとなる帯電が抑えられる。今回、我々は基盤のみを金属蒸着することでSEM観察の帯電を防げ、生体試料を影絵のように観察できることを確認した。具体的には、厚さ8 nm程度の金薄膜を蒸着したカバーガラスを作製し、その表面に生体試料を化学固定した。これをイオン液体で前処理し、金属蒸着をせずに直接SEM観察した。このとき、試料表面から生じる2次電子は背景よりも少ないため、明るい背景の中に黒い試料像を観察することができた。さらにイオン液体、溶媒の組み合わせを最適化することにより、シルエット法で枯草菌のべん毛像の観察が可能であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請者が昨年度、体調不良により長期休職せざるを得なく、計画の進展に遅れが生じた。本研究の研究期間を延長し、当初に提案した目的の達成を目指す。

今後の研究の推進方策

イオン液体の真空中でも安定で蒸発しない性質を利用した、画期的なイメージング技術の開発とその生命科学への応用を引き続き行う。具体的には、1) 走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡のレプリカ作製のための「乾かさない」試料作製法の確立、2)導電性を持つ金属コート基盤を利用した、無蒸着生体試料の極めて簡便な走査型電子顕微鏡法、3)イオン液体の導電性を利用した走査型顕微鏡による生物試料の直接観察法の確立を目指す。

次年度使用額が生じた理由

申請者が体調不良により、昨年度長期間休職しており、計画通りの予算消化ができなかった。残金は電子顕微鏡の消耗費、電子顕微鏡の使用料にあてる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Demonstration of correlative atomic force and transmission electron microscopy using actin cytoskeleton2017

    • 著者名/発表者名
      Yamada Y, Konno H, Shimabukuro K
    • 雑誌名

      Biophys Physicobiol.

      巻: 14 ページ: 11-117

    • DOI

      10.2142/biophysico.14.0_111

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [図書] 分子マシンの科学2017

    • 著者名/発表者名
      日本化学会
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      化学同人
    • ISBN
      4759813861
  • [備考] 宇部高専 島袋研 業績ページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/shimabukurolab/papers

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公開日: 2018-12-17  

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