研究課題/領域番号 |
16K14775
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
広橋 教貴 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (90376997)
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研究分担者 |
岩田 容子 東京大学, 大気海洋研究所, 講師 (60431342)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | プロトンセンシング / 精子走化性 / pHイメージング / 頭足類 / 雄二型 / 生殖戦略 / 受精様式 / 鞭毛運動 |
研究実績の概要 |
イカ類の精子は環境のpH変化を感受し、遊泳運動のstrait→turn→strait変換(turnの開始と終止)を正確な位置とタイミングで行うことができる。このことにより、あるpHの環境に留まり続けることが可能となる。本研究では、高速度カメラを使い、遊泳方向を転換するときの鞭毛と頭部の動きを解析したところ、次のことが明らかとなった。 1)ストレートとターンが明確に区別できること。 2)ターンからストレートに戻る時、オーバーシュートと名付けたどちらとも違った動きをすること。 3)走化性物質の勾配を検知するのに、濃度のダイナミックレンジを変えながら接近するのではなく、環境pHの絶対値がターニングポイントを決めていること。そのpHはおよそ5.5付近であること。 4)3)に加えて、遊泳方向によるpH勾配のきつさ、すなわち環境pHの時間変化もターン開始を決める要因となっていること。 5)走化性源(酸)から30度以内の角度で離れた場合にのみターンが起こり、ターン後に酸へ再び向かう方向のは60度以内と幅があり、このことから正確に走化性源へ向かうのではなく、集合体に留まるようにできていること。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度の計画であった、「イカ類の精子はプロトン勾配を時間微分して走化性応答するか?」「広範囲の環境pHと精子細胞内pHイメージング」「ケージド化合物を用いた一過性のプロトン勾配による精子の走化性応答の解析」という3つの課題に対し、解答を得たので、進捗状況は「順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は、これまでの結果をまとめて、論文を発表する。さらに、長年の懸案である、プロトン輸送体の実体を明らかにすべく、当初計画通りに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者の分担金が残ったが、これは青森県で買い付けているイカの不漁による影響である。
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次年度使用額の使用計画 |
不漁を見越して、ヤリイカの生殖期が始まったら早めに実験を進め執行する。
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