精子が環境のプロトン濃度の変化を感じて正確に鞭毛運動を変換するメカニズム(如何にインプットシグナルを時間微分して、細胞内で情報処理を行うか)を解明することを目指した。環境のプロトン勾配を蛍光プローブを用いて可視化した状態で精子がターン遊泳する地点とそれまでの勾配変化を計算したところ、ターンを引き起こすのに、>-0.0025pH/secの変化とpH5.5の閾値を超える事が必要であった。ターン時の鞭毛運動を時間分解すると、3つの異なる波形運動が連続的に繰り返し観察された。この運動は、これまで海産無脊椎動物の精子で研究されてきた走化性(卵への遊走性)とは全く異なる仕組みである事が今回明らかになった。
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