研究課題/領域番号 |
16K14784
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
一柳 健司 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70401560)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | RNA / 生殖細胞 / レトロトランスポゾン |
研究実績の概要 |
SINEは哺乳類ゲノムに50万コピー以上も存在する150-300bp程度の転移性因子で、その転写産物は非コードRNAであるが、遺伝子発現制御に関わることが示唆されている。これらの因子の遺伝学解析のためには、まず、どのコピーが転写されているのかを同定する必要がある。そこで、本研究ではmiRNAよりは長いがmRNAよりは短い中程度の長さのRNA(meRNAまたはmedium length RNAと呼ぶ)を網羅的に同定する方法を開発し(meRNAシーケンシング)、それを応用して転写されているSINEコピーを同定することを目標とし、また方法論的に細胞内tRNAレパートリーの解析や機能性RNAの新規同定などにも応用可能なものを目指すことで次世代の新たなRNA研究に資することも目標としている。H28年度はまずプロトコールの確立を目剤した。成獣精巣からRNAを抽出し、5’フォスファターゼで処理後、RNAの両末端にそれぞれ特異的なアダプターをRNAライゲースを用いて付加し、逆転写とPCRを行なって、シーケンシングライブラリーを作成する。イルミナ社のMiSeqを用いてシーケンスングしたところ、SINE RNA配列を取得することができた。これらは5’フォスファターゼ処理がない場合には取得できなかったことから、5'末端が3リン酸化されたままのRNA(転写されてから切断されていない)を効率良く取得できたと考えている。取得配列をゲノム配列にマッピングし、mRNA-seqでは不可能だったSINE発現ローカスの特定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H28年7月に所属機関が変更になり、研究室の引越しを行った。その立ち上げ作業のため、年度の後半は思うように研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
マウス飼育設備、DNAやRNA解析装置、シーケンサーなどが使用できるように整備されてきたので、H29年度は雄マウスから各発生段階の生殖細胞をとり、meRNAのシーケンシングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年7月に所属機関が変更となり、研究室の引越しを行なった。これに伴い、動物実験、遺伝子組み換え実験ができない状況があったため、年間使用額が予定額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
実験設備が整ってきたので、マウスから生殖細胞を分離し、シーケンシング実験を行う。そのための試薬代として使用する予定である。
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