細胞内共生による葉緑体の成立は、真核細胞による光合成性生物の補食、細胞内での一時的保持、共生の順に進んだと考えられている。細胞内共生関係維持における、葉緑体光合成による宿主の制御機構と進化について、本研究では以下を明らかにした。単細胞紅藻において、葉緑体の光合成が還元力を介して宿主真核細胞の細胞内時計をリセットした。藻食アメーバ3種において、明条件での光合成生物の補食は酸化ストレスを生じた。それに応答してアメーバは捕食・消化活性を変化させた。従って、光合成による還元力を介した葉緑体から宿主へのシグナル伝達機構が存在すること、その機構は捕食の段階から存在し進化したことが示唆された。
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