研究課題
沖縄県宮古島、伊平屋島、奄美大島の3島において、アカショウビンの繁殖期である4月から6月にかけて野外調査を行った。調査内容は、アカショウビン雄の鳴き声の録音、環境騒音の録音、およびプレイバック実験である。プレイバック実験とは、予め録音した鳴き声をスピーカーから再生し、その音を聞いた個体の行動を評価するものである。宮古島における鳴き声は、伊平屋島と奄美大島よりも最高周波数が有意に低いことが明らかになった。鳴き声の周波数の地理的変異の一例が検出された。環境騒音を録音した。録音ファイルから、さえずりが活発な日の出40分前から日の出後2時間30分まで10分毎に始めの10秒間を抽出した。抽出ファイルから、録音場所ごとに環境騒音の音量の周波数分布を表すスペクトラムを生成した。宮古島における環境騒音のうち5-8kHzの周波数帯の音が、他の2島よりも大きいことがわかった。この周波数帯はセミの声によってもたらされていた。宮古島における鳴き声は、この影響で周波数が低くなっている可能性が示唆された。プレイバック実験は宮古島の集団に対して行った。再生音声への鳴き返しの反応は、生殖隔離の有無を調べる方法として一般的に使われている。奄美大島、伊平屋島で録音した声、および宮古島内でもプレイバック実験を行う調査地から離れ、個体の行き来がないと想定される場所で録音した声を用いた。音声再生後の鳴き返しの回数を計測した。宮古島のアカショウビンは、他の2島における鳴き声に対するよりも鳴き返し回数が多く、強く反応していることが明らかになった。島間で異なる鳴き声の周波数の違いが、交配前隔離の機構として機能している可能性を示唆している。ミトコンドリアCOI領域の解析からアカショウビンは大きく二つのクレードに区分されることがわかった。奄美諸島と沖縄諸島は同じクレードに含まれ、先島諸島とは異なっていることがわかった。
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