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2018 年度 実施状況報告書

魚類の生息限界水深に挑む

研究課題

研究課題/領域番号 16K14800
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

土田 真二  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 技術主幹 (30344295)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード超深海 / シンカイクサウオ / マリアナ海溝
研究実績の概要

2017年度に実施した調査船「かいれい」航海にて得られたミニランダー3潜航分(一回目8,200m、2回目7,498m、3回目8,178m)の映像を精査した。得られた映像から、各生物が初出した時間(First Arrival Time: Tarr)の記録、ランダーフレームに貼り付けた10cm間隔のテープ付近を遊泳した生物の遊泳速度を記録した。また、過去に計測されたマリアナ海溝の平均流速を0.7cm/s(Taira et al., 2004)と仮定し、Priede and Merrett (1996)の手法を用いて出現した各種生物の個体数密度を推定した。魚類ではシンカイクサウオが2回目および3回目の潜航に出現し、その遊泳速度の平均は、3.1cm/s(N=4)となった。一回目のFirst Arrival Timeが13163秒、2回目は63413秒であったことから、個体数密度は7,498mサイトでは68個体/km2、8,178mサイトでは3個体/km2となった。魚類だけでなくサイト間で出現した生物の多様性をみると、8,200mおよび8,178mではそれぞれ5種(4種重複)であったが、7,498mでは7種となった。優占的に出現するヨコエビ類2種の個体数密度を前述同様に解析すると、7,498mサイトでもっとも個体数密度が高くなる傾向になった。同じく優占種であるアミ類についてみると、8,200mサイトでもっとも高くなったが、8,178mサイトではかなり低い値を示した。アミ類のような例外はあるものの8,000mを越えるサイトでは多様性も生物量も低くなる傾向がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

他プロジェクトにおいて、2017年度に自己浮上式カメラの切り離し装置の不具合により亡失トラブルが発生した。そのため、本研究でも使用する予定であった自己浮上式カメラの運用停止と原因追及および問題の改善が求められた。2018年の早期に問題を改善する予定であったが、結果として2019年3月まで要した。よって、本課題にて計画されていた自己浮上式カメラによる観測を、トラブル解決後の2019年度に実施する予定である。

今後の研究の推進方策

本研究で用いる探査機については、引き続きミニランダーを利用する。また、現状では、江戸っ子1号の不具合も解消されたため、フルデプスの改良はできなかったが、8,000m以浅の調査では利用可能となった。2019年度は民間の調査船や漁船等も視野に入れた検討を行い、伊豆・小笠原海溝での調査を目指す。使用船舶の確保ができた場合には、江戸っ子1号でサンプル採集を目指し、魚類の出現情報のある7,000-8,000m以浅での観測を実施、ミニランダーについては、8,200m以深を目標に投入し、圧力センサーの計測による魚類の生息限界に関する情報を取得する。また、試料を得ることができた場合には、TMAOなど浸透圧調整物質の分析も行い、魚類の生理・適応機能について明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

他業務において、2017年度に自己浮上式カメラの切り離し装置の不具合により亡失トラブルが発生した。そのため、本課題でも使用する予定であった自己浮上式カメラの運用停止と原因追及および問題の改善が求められた。2018年度の早期に問題を改善する予定であったが、結果として2019年3月まで要した。よって、本課題にて2018年度に計画されていた自己浮上式カメラによる観測を、トラブル解決後の2019年度に実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] マリアナ海溝において観察された甲殻類の多様性と生息密度推定2018

    • 著者名/発表者名
      土田真二・小栗一将・河戸 勝・藤原義弘・藤倉克則・ 中條秀彦・村島 崇
    • 学会等名
      日本甲殻類学会第56回大会

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公開日: 2019-12-27  

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