研究課題/領域番号 |
16K14809
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
鈴木 徹 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20235972)
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研究分担者 |
岡本 朋子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50588150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 三者間の共生系 / ゲノム多形 / 化学生態学 |
研究実績の概要 |
花の蜜腺には、高頻度で酵母が検出される。我々の最近の研究から、花の品種ごとに異なる種類の酵母が分離されることが示された。これは花と酵母の間に何らかの相互認識機構があり、未知の共生関係があることを示唆している。酵母は自身の生育に必要がないと思われる様々な揮発性の二次代謝物生産系を有している。今回、我々は、花が蜜を提供し、蜜を利用する酵母が揮発性二次代謝産物を生産し、これに誘引された昆虫が蜜を得るとともに花粉運搬者として働くという三者間の共生系が成立していると仮設を立てた。今研究では、ゲノム微生物学、昆虫化学生態学の立場からこの仮説を検証することを試みた。 花のサンプルから、フェノールクロロフォルム法、他。DNeasy Tissue Kit (Quiagen)、NucleoSpin Tissue (Macherey-Nagel)でDNAを抽出した。酵母に関しては、28S rRNAのD1-D2領域、バクテリアに関しては、16S rRNA V3-V4領域、花に関してはmatK rbcL、昆虫に関しては、mitochondrial COI 配列をターゲットにDNAの増幅を行った。その結果、酵母、バクテリア、花のプライマーからは、DNAの増幅が可能であった。これらを用いることで、花のサンプリから、花の種類、そこに共生するする酵母、および乳酸菌などのバクテリアの存在を一挙に特定する方法論が確立した。 化学生態学的な解析については、GC-EADの導入が完了した。今後、これを用い酵母の遺伝子形と揮発性二次代謝成分の関係、Saccharomyces cervisiae の変異株を用いた香気成分の生産量の変化と、昆虫の誘因挙動について解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、大学で導入される予定であったゲノムシーケンサが一旦頓挫したため、プライマーの設計に集中してシステム構築を行った。幸い、現在ではゲノムシーケンサの導入が完了したため、今後、大規模解析を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
メタゲノムゲノム解析を行う系の開発が完了したので、今後はこれを用い、花のサンプル、果実のサンプルからDNAを取得し、大規模解析を開始することが、可能になった。 酵母と、乳酸菌、酵母と花、乳酸菌と花の間で、種レベルの選択性が存在するかを検証する。 昆虫のDNAバーコードについては、現在のところ検出できていないが、PCRの感度の向上を試みる。 また、化学生態学的な解析については、GC-EADの導入が完了した。今後、これを用いた解析を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、予定していたゲノム解析が、稼働しなかったため。予定していた金額を消化できなかた。61,102円の余剰金が出来た。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度のシーケンシングのための予算としたい。
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