研究課題/領域番号 |
16K14824
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平崎 鋭矢 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70252567)
|
研究分担者 |
正高 信男 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60192746)
後藤 幸織 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (10645584)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 二足歩行 / 視覚探索 / 霊長類 / NIRS |
研究実績の概要 |
言語能力の初期進化には、運動コントロールを調整する神経基盤の変化と、個体発達過程における母子間のきずな(アタッチメント)の重要度の増加が深く関ったと考えられる。この仮説にもとづき、本研究計画では、「訓練により二足歩行が可能になる過程での脳機能の変化」、および「アタッチメントに依存した社会探索の脳基盤」について、近赤外線分光法(NIRS)による脳機能計測を行い、それぞれの習熟の可能性を追求しつつ、習熟に対応して賦活する領野を特定し、その有機的な関連性を明らかにすることを目的とした。特に前頭の9野と補足運動野に着目し、マカクザル(ニホンザルとアカゲザル)をモデルとして、NIRS法を用いた実験的な解明を試みる。 28年度はマカクザル被験体に対し、直立二足歩行の訓練と視覚探索の学習訓練を実施した。二足歩行時の脳機能計測はトレッドミル上で行うため、実験者と被験体の間の一対一の関係の確立、トレッドミル上歩行への馴化、NIRSプローブホルダーへの馴化が必要となる。このうち、モンキーチェアの購入ができなかったことからNIRS実験への馴化には遅延が生じているが、前2者については順調に進められた。 視覚探索については、マカクザルが主たる捕食動物であるヘビの認識および同種の成体および幼体の認識を行い得るかどうか検討することを目的とし、分担者(正高)の研究室で開発した視覚探索課題への訓練と予備実験を行った。NIRSプローブホルダーへの馴化にも着手した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度の交付額が、研究に必要な機材(二足歩行時のNIRS計測のための訓練用モンキーチェア)の購入をカバーするに至らなかったため、NIRS実験条件への馴化に遅延が生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
視覚探索課題については、28年度に開始した実験を継続する。NIRSを用いた脳機能計測(9野と補足運動野)も遂行する。二足歩行課題については、28年度から行っているキネマティクス解析を継続するとともに、別資金で準備予定のモンキーチェアを用いた脳機能計測(NIRS計測)の準備および遂行を行う。NIRS計測は馴化から始め、馴化が完了し次第、実験へと移行する。 両課題ともにおいて、NIRSの一次データが得られたら、マッピング用ソフトウェアを用いて、MRI画像を参照しつつ、歩行課題遂行時と視覚探索課題遂行時の脳賦活領域を推定する。年度後半には両課題の結果を統合し、二足歩行と社会探索の脳基盤についての考察を行うとともに、得られた研究成果から仮説の立案を試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行が若干遅れており、そのため予算の執行にも遅れが生じている。
|
次年度使用額の使用計画 |
遅延解消の目処はたっており、29年度には速やか研究を遂行し、それに応じて予算執行もなされる。
|