研究課題
キャッサバは世界の10億人(特にアフリカ、東南アジア、ラテンアメリカなどの熱帯地域)の、食糧安全保障上そして貧農の生活改善上重要な役割を果たしている熱帯のデンプン資源作物である。本研究では、CRISPR/Cas9システム(DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる画期的な新しい遺伝子改変技術)をキャッサバに導入し、キャッサバにおける植物ゲノム編集システムの基盤確立を目指す。澱粉枝作り酵素遺伝子に対象を絞って本研究を実施する。2016年度は、guide RNAをカリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター(CaMV35Sプロモーター)で発現させる融合遺伝子断片と、Cas9ヌクレアーゼ遺伝子をパセリのユビキチン遺伝子プロモーターまたはCaMV35Sプロモーターで発現させる融合遺伝子断片を一つのバイナリーベクターへ組み込んだ。澱粉枝作り酵素遺伝子の標的配列を二種類選択し、合計4種類のバイナリーベクターを作成して、キャッサバカルスへ形質転換を行った。キャッサバ由来Pol IIIとPol IIプロモーターの単離を引き続き試みている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、guide RNAをカリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター(CaMV35Sプロモーター)で発現させる融合遺伝子断片と、Cas9ヌクレアーゼ遺伝子をパセリのユビキチン遺伝子プロモーターまたはCaMV35Sプロモーターで発現させる融合遺伝子断片を一つのバイナリーベクターへ組み込んだものを作成し、キャッサバへの遺伝子導入・形質転換系統の選抜が進められているため。
今後は、得られたトランスジェニックキャッサバ植物(約100ライン)からゲノムDNAを抽出し、PCRを行い、澱粉枝作り酵素遺伝子上のゲノム配列が改変されたか確認する。澱粉枝作り酵素遺伝子上の ゲノム配列が改変された系統において、澱粉枝作り酵素の酵素活性測定や代謝産物(デンプン)の解析を行う。 上記解析を通してどのベクターを用いて形質転換をするのがキャッサバにおいて有効であるか評価する。 標的変異導入の充分な成功例が得られた場合、デンプン代謝に関する他の標的遺伝子をターゲットとするベクターを構築しトランスジェニックキャッサバ植物の作出を試み、開発したシステムの再現性を確認する。
ベクター構築が当初の予定より順調に進んだため。
得られたトランスジェニックキャッサバ植物(約100ライン)からゲノムDNAを抽出し、PCRを行い、澱粉枝作り酵素遺伝子上のゲノム配列が改変されたか確認する。澱粉枝作り酵素遺伝子上の ゲノム配列が改変された系統において、澱粉枝作り酵素の酵素活性測定や代謝産物(デンプン)の解析を行う。 上記解析を通してどのベクターを用いて形質転換をするのがキャッサバにおいて有効であるか評価する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Frontiers in Plant Science
巻: 7 ページ: 2039
10.3389/fpls.2016.02039.
http://www.csrs.riken.jp/jp/labs/pgnrt/index.html