研究課題
本研究では、CRISPR/Cas9システムをキャッサバに導入し、キャッサバにおける植物ゲノム編集システムの基盤確立を目指す。澱粉枝作り酵素遺伝子に対象を絞って本研究を実施する。2017年度は guide RNAを35Sプロモーター(pCaMV35S:gRNA)で発現させる融合遺伝子断片とCas9ヌクレアーゼ遺伝子をパセリのユビキチン遺伝子プロモーターで発現させる融合遺伝子断片(pCaMV35S:gRNA-pPcUbi:Cas9)を導入したトランスジェニックキャッサバ48個体、またpCaMV35S:gRNAとCas9ヌクレアーゼ遺伝子を35Sプロモーターで発現させる融合遺伝子断片(pCaMV35S:gRNA-pCaMV35S:Cas9)を導入したトランスジェニックキャッサバ96個体を得た。トランスジェニックキャッサバの葉からゲノムDNAを抽出し、それを鋳型に用いてPCRを行った。ダイレクトシーケンス法による波形パターンの変化または制限酵素処理による制限酵素反応部位の欠失をもとに澱粉枝作り酵素遺伝子上のゲノム配列が編集されたか確認した。pCaMV35S:gRNA-pPcUbi:Cas9の48系統の内29系統でゲノム編集を確認できた。pCaMV35S :gRNA-pCaMV35S:Cas9の96系統の内12系統でゲノム編集を確認できた。pCaMV35S:gRNA-pPcUbi:Cas9の組み合わせで高い編集効率を得ることができた。pCaMV35S:gRNA-pUbi:Cas9の数系統を選び、片アレル変異、両アレル変異、野生型の遺伝子型を判定した。昨年度から試みていたキャッサバ由来Pol IIIとPol IIプロモーターの単離であるが、phytozomeデータベースのBLAST解析の結果から複数個の遺伝子の存在が示唆され、遺伝子同定が困難であるため断念した。
2: おおむね順調に進展している
キャッサバ由来Pol IIIとPol IIプロモーターの単離を断念したが、CaMV35SやpPcUbiプロモーターはキャッサバにも効果的に機能しており、当初の計画通り、ゲノム編集されたキャッサバ形質転換体を得ることができたため。
今後は、澱粉枝作り酵素遺伝子上の ゲノム配列が改変された系統において、澱粉枝作り酵素の酵素活性測定を行い、論文化を目指す。また、トランスジェニックキャッサバを土壌条件でも栽培し、生育調査、澱粉構造解析を行う予定である。
キャッサバ由来Pol IIIとPol IIプロモーターの単離を断念したが、CaMV35SやpPcUbiプロモーターはキャッサバにも効果的に機能しており、ゲノム編集されたキャッサバ形質転換体を順調に作出することができたため。今後は、澱粉枝作り酵素遺伝子上の ゲノム配列が改変された系統において、澱粉枝作り酵素の酵素活性測定を行い、論文化を目指す。また、トランスジェニックキャッサバを土壌条件でも栽培し、生育調査、澱粉構造解析を行う予定である。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
PLoS ONE
巻: 12 ページ: e0180736
10.1371/journal.pone.0180736
応用糖質科学
巻: 7 ページ: 143-146
http://www.csrs.riken.jp/jp/labs/pgnrt/index.html