世界の10億人を養う熱帯作物キャッサバにおけるゲノム編集基盤技術の確立

2018 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 16K14832
• 研究機関: 国立研究開発法人理化学研究所
• 研究代表者: 関 原明 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (80281624)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: キャッサバ / ゲノム編集 / 澱粉枝作り酵素

研究実績の概要

本研究では、CRISPR/Cas9システムをキャッサバに導入し、キャッサバにおける植物ゲノム編集システムの基盤確立を目指す。キャッサバに一コピーしか確認されていない、澱粉枝作り酵素1（SBE1）遺伝子に対象を絞って本研究を実施する。昨年度の結果から、pCaMV35S:gRNA-pPcUbi:Cas9の組み合わせで高い編集効率が観察された（48の再分化系統の内、29系統でSBE1遺伝子上でゲノム編集されていることが分かった）。ゲノム編集された部位周辺をクローニングして、ゲノム編集による欠失または挿入について詳細に分析した。29系統から3系統の両アリル変異体と3系統の片アリル変異体を選抜した。ゲノム編集によりSBE1タンパク質が欠損しているかどうか判定するため、葉から可溶性タンパク質を粗抽出後、Nativeゲル上での澱粉枝作り酵素活性測定を行った。野生株のキャッサバの葉から2つのSBE活性バンドが検出され、ゲノム編集されたラインでは移動度の早い活性バンドの喪失が観察された。SBE1遺伝子を標的としたRNAiラインを用いた結果でも同様であった。また、ゲノム編集による変異のパターン（片アレル変異、両アレル変異）とNativeゲル上での澱粉枝作り酵素活性強度との関連性を調査したところ、葉中の澱粉枝作り酵素活性の強度と変異のパターン（片アレル変異、両アレル変異、野生型）との間に相関性が認められた。論文発表のためには塊根澱粉の特性や塊根中の酵素活性調査が必須であると考えているが、これらキャッサバ系統は組織培養体で維持されている。土壌条件に馴化後、塊根澱粉の特性や塊根中の酵素活性調査を行うため栽培中である。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究者のその他の業務の多忙により、追加実験がいくつか残ってしまい次年度使用額が生じてしまった。

今後の研究の推進方策

論文発表のためには塊根澱粉の特性や塊根中の酵素活性調査が必須であると考えているが、これらキャッサバ系統は組織培養体で維持されている。土壌条件に馴化後、塊根澱粉の特性や塊根中の酵素活性調査を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究者のその他の業務の多忙により、追加実験がいくつか残ってしまい次年度使用額が生じてしまった。令和元年度は追加実験を実施し、論文作成に必要なデータ収集、論文発表
まで進めるための費用に使用したい。

研究成果

• [雑誌論文] Advancement of Asian Cassava Molecular Breeding towards SDGs. (2018)
  • 著者名/発表者名: Seki M, Tokunaga H, Utsumi C, Okamoto Y, Moriya E, Vu TA, Sakamoto A, Takei Y, Sakurai T, Endo M, Mikami M, Toki S, Tsuji H, Narangajavana J, Triwitayakorn K, Sojikul P, Nguyen AH, Do QTN, Nguyen DV, Nguyen VA, Le HH, Pham NT, Nguyen HH, Touch B, Srean P, Wongtiem P, Ishitani M and Utsumi Y
  • 雑誌名: Proceedings of the 18th Science Council of Asia (SCA) Conference "Role of Science for Society: Strategies towards SDGs in Asia", Dec. 5-7, 2018, Tokyo, Japan 巻: Theme 10 ページ: 6
  • 国際共著
• [学会発表] Advancement of Asian Cassava Molecular Breeding by the use of genome editing technologies towards SDGs (2019)
  • 著者名/発表者名: Utsumi, Y., Tokunaga, H., Utsumi, C., Endo, M., Saika, H., Toki, S., Ishitani, M., Tsuji, H. and Seki, M.
  • 学会等名: Inter-project Joint Open Seminar - New prospect of agriculture and bioindustry using genome editing technology -
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Advancement of Asian Cassava Molecular Breeding towards SDGs. (2018)
  • 著者名/発表者名: Seki M, Tokunaga H, Utsumi C, Okamoto Y, Moriya E, Vu TA, Sakamoto A, Takei Y, Sakurai T, Endo M, Mikami M, Toki S, Tsuji H, Narangajavana J, Triwitayakorn K, Sojikul P, Nguyen AH, Do QTN, Nguyen DV, Nguyen VA, Le HH, Pham NT, Nguyen HH, Touch B, Srean P, Wongtiem P, Ishitani M and Utsumi Y
  • 学会等名: The 18th Science Council of Asia (SCA) Conference “Role of Science for Society: Strategies towards SDGs in Asia"
  • 国際学会 / 招待講演
• [備考] 国立研究開発法人理化学研究所環境資源科学研究センター植物ゲノム発現研究チームホームページ
  • URL: http://www.csrs.riken.jp/jp/labs/pgnrt/index.html