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2016 年度 実施状況報告書

次世代シーケンサーを用いたオオムギ耐塩性遺伝子の短期間の同定と作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K14834
研究機関東京農工大学

研究代表者

平沢 正  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 名誉教授 (30015119)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード作物学 / 植物生理学 / ゲノム / オオムギ / 塩ストレス
研究実績の概要

耐塩性の高いエチオピア産オオムギ品種(OUE812)と耐塩性の低い中国産オオムギ品種(OUC613)から育成した組換え近交系96系統の中から、200mM NaCl処理しても稔実歩合を高く維持した20系統、稔実歩合の低かった20系統を選び、QTL-seq法で解析したところ、塩ストレス条件でも稔実歩合を高く維持するQTLが第2染色体の約54 cM近傍に推定され、以前QTL Cartographerで推定したQTL領域とほぼ一致した。
OUE812とOUC613の交雑F1個体にOUC613を戻し交雑し、目的とする遺伝子を含む領域を持つF2個体を選び、大規模分離集団育成の準備を進めた。
0mM NaCl 処理、150mM NaCl 処理した植物を種子親あるいは花粉親として、NaCl処理濃度の異なる親を交配した結果、OUE613が花粉親の場合のみ150mMNaCl処理によって稔実歩合が有意に低下し、塩ストレスによって引き起こされる不稔が花粉の稔性の低下によるものであることが分かった。
150mM NaCl処理が花粉の生存率、柱頭付着花粉数、花粉発芽率に及ぼす影響を検討した。その結果、両品種の花粉生存率は、150mM NaCl処理でわずかに低下したものの、品種間差は見られなかった。柱頭上の花粉数及び花粉発芽率は、両品種とも150mM NaCl処理で大きく低下したが、低下程度はOUC613で大きく、その結果、発芽花粉数もOUC613で少なかった。さらに、全発芽花粉数に対する花粉管が花柱基部まで伸長した花粉数の割合は,両品種とも低下したが、低下程度はOUC613で大きく、その結果、花粉管が花柱基部に達した花粉数はOUE812に比べてOUC613が少ない傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

稔実歩合の低下要因が、花粉稔性の低下によっておこると予想して検討を前倒しに進めた。予想通り、稔実歩合が花粉稔性の低下によっておこることが明らかになったので、次年度計画していた花粉稔性の低下要因の検討を予備的に行うことができた。

今後の研究の推進方策

花粉の稔性が塩ストレスによる子実の登熟歩合を低下させることが分かったので、稔性の低下理由を、葯内花粉数、柱頭における付着花粉数、発芽花粉数、花粉管の伸長などに着目して解明していく。
大規模分離集団を育成し、塩ストレス下で稔実歩合を低下させる遺伝子の同定を目指す。

次年度使用額が生じた理由

QTL-seq法による解析にかかる費用が予定よりも大幅に節約できた。次年度計画している大規模分離集団育成には当初予算額を大きく上回ることが予想されるので、節約分を次年度の大規模分離集団育成費にあてて、期間内の目的達成を目指したい。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額全額(940443円)を大規模分離集団育成のための、マーカーなどの試薬代と材料育成装置作成にあてることとし、当初計画した物品費330000円にこれを加え、物品費として1270443円を計上する。旅費、人件費・謝金、その他は当初計画通り、それぞれ350000円、120000円、100000円を計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Causes of varietal differences in grain fertility of barley under long-term salt stress2017

    • 著者名/発表者名
      Asuka Kodama, Ryohei Narita, Tammy L. Sage, Shaheen Bagha, Shunsuke Adachi, Taiichiro Ookawa, Kazuhiro Sato, Tadashi Hirasawa
    • 学会等名
      第58回植物生理学会年会
    • 発表場所
      鹿児島大学郡元キャンパス(鹿児島市)
    • 年月日
      2017-03-16 – 2017-03-18

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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