現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.ダイズ湿害発生時におけるナノ粒子の影響の形態学的・植物生理学的解析 (1)ナノ粒子は、比表面積が極めて大きいこと、量子サイズ効果によって特有の物性を示すことから、ナノ銀(2, 15, 50-80 nm)、ナノアルミナ(5, 30-60, 135 nm)、ナノ亜鉛等を用いて、さらに、濃度依存性と時期特異性を、形態学的・植物生理学的に測定した。結果として、ナノ亜鉛や高濃度のナノ粒子は伸長を抑制するが、50ppmの30-60 nmナノ酸化アルミニウムは、根の伸長を促進した。(2)ダイズの出芽期の冠水ストレスにおいて、ユビキチン・プロテアソーム系のタンパク質群が変動することが明らかになっているので、ナノ粒子処理後、エバンスブルーの取り込みを測定し、細胞死の発生程度を解析し湿害の緩和程度を数値化した。ナノ酸化アルミニウム添加により、冠水下で細胞死を抑制することにより、冠水ストレスを軽減していることが示唆した。 2.ダイズ湿害発生時におけるナノ粒子の影響のタンパク質科学的解析 (3)出芽期のダイズを用いて、(1)で冠水による生育遅延を改善したナノ粒子を用いて、無処理群、冠水処理群、冠水処理+ナノ粒子処理群を設定し、経時的にタンパク質を抽出し、ゲルフリー・ラベルフリーデファレンシャルプロテオミクス解析した。得られたタンパク質群を、代謝マップ上にプロットした。冠水処理により、解糖系、嫌気代謝系およびクエン酸回路等が促進するが、ナノ酸化アルミニウムにより抑制されることが明らかになった。(4)上記と同じ条件下で、ミトコンドリア画分を精製し、精製効率を測定後、ゲルフリー・ラベルフリーデファレンシャルプロテオミクス解析を行い、ナノ粒子の器官特異的機作を明らかにした。サイズ依存的にATP産生に関与していることを解明した。
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