| 研究課題/領域番号 |
16K14843
|
|---|
| 研究機関 | 北海道大学 |
|---|
研究代表者 |
津釜 大侑 北海道大学, 農学研究院, 助教 (10726061)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| キーワード | アスパラガス / 雌雄性 / 性決定 / 花 / 形態形成 / 生殖 / 遺伝子 / 生理活性物質 |
|---|
| 研究実績の概要 |
2016年度に実施した実験により、植物ホルモンであるオーキシンとサイトカイニンが食用アスパラガスの花器官の発達に影響を与えうることが示唆されていたが、当該実験は屋外で行われたものであり、それら植物ホルモンの施用方法や頻度等に検討の余地があった。2017年度は、温室内で栽培した食用アスパラガスの花芽に対してオーキシンとサイトカイニンを与えるという実験を行った。オーキシンを与えた際には、擬葉は歪曲しながら成長し、サイトカイニンを与えた際には、擬葉の太さが増大し、これらは2016年度の結果と同様であった。一方、2017年度は、オーキシン処理もサイトカイニン処理も花器官の形態には影響を与えなかった。このような植物ホルモンないし生理活性物質の施用実験に関しては、今後更に検討・最適化する必要があると考えられる。
また、食用アスパラガスの花の各器官（鱗片葉、雌蕊、雄蕊）の転写産物をRNA-Seqにより網羅的に解析した。これにより、それらの器官で活性化されていると考えらえれる遺伝子を明らかにした。雌花の雄蕊は細胞死により退化するが、これに関わる可能性のある遺伝子も見出した。遺伝子の発現様式を基に、各花器官で活性化していると考えられる代謝経路も明らかにした。
新規の性決定遺伝子の候補の単離やマーカー開発に役立てるべく、次世代シーケンサー・MinIONを用いた食用アスパラガスゲノムのリーシークエンシングも行い、合計約14.8塩基（食用アスパラガスのゲノムサイズの約11倍）のデータを得た。
以上の結果を基に、1件の学会発表を行った。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した実験・解析はおおむね実行できており、一定の結果が得られている。
|
| 今後の研究の推進方策 |
花器官の発達に影響を与える生理活性物質の探索を引き続き進める。RNA-Seq解析により、雌花と雄花それぞれの各花器官において活性化されている可能性のある代謝経路が抽出できたが、それらの経路に影響を与えうる生理活性物質の効果の評価には特に注力する。
2016年度に単離した性決定遺伝子の候補であるAoMYB35という遺伝子に関しても、機能解析を進める。
|
