研究課題/領域番号 |
16K14859
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
平塚 和之 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30202279)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | さび病菌 / 乾燥標本 / ゲノム解析 / NGS |
研究実績の概要 |
今年度は、比較的材料供給に余裕があるメダケ赤衣病菌(Stereostratum corticioides)を用いた微少サンプルからの効率よい核酸抽出方法について検討した。具体的にはシリコンコートしたカバーグラス中に抽出用緩衝液と胞子を混合し、顕微鏡で検鏡しつつ圧着して対象をつぶす操作により、微量サンプルからの核酸抽出を行った。その結果、PCR増幅が可能なDNAサンプルを得ることが出来た。しかし、この方法では、得られるDNAの量にばらつきが大きいことが判明し、その解消のためにはさらなる検討が必要であると思われた。 一方、染色体外遺伝因子として重要なウイルス由来の二本鎖RNAの検出を試みたところ、新鮮なサンプルからは期待通りの分子が回収されたが、古い乾燥標本からの抽出は十分なサンプル量をもちいたにもかかわらず成功せず、それは極めて困難であると思われた。しかし、今後は抽出方法や緩衝液系を改良して、再度試みたい。 1年度目の実験でDNA試料の確保はほぼクリアできたと判断しており、2年度目は次世代シーケンサーを用いたDNA解析に入る予定だが、周辺情報が乏しいので他の実施例を参考にしつつ慎重に進めたい。 また、乾燥標本の維持と整理も重要な問題となるが、よりコンパクトに長期間の保存に耐える方法について検討を開始した。残念ながら、最適な方法を決定するには至らなかったが、将来的にも数十年以上の劣化に対応する必要があると思われるので、今後も引き続き保存方法に関する情報収集を継続して行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
古いさび病菌標本からの核酸抽出手法の確立が本研究の要点であるが、貴重なさび病菌標本を大量に供試して条件検討等を実施するのは極めて困難であり、慎重な実験手法の検討が必要であった。
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今後の研究の推進方策 |
大量にDNA試料を準備することが困難であることが今後も予想されるので、DNA増幅について重点的に検討し、超微量サンプルでも対応可能な実験技術について集中的に検討する。
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