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2017 年度 実施状況報告書

植物病原細菌多剤排出ポンプの病原力としての役割

研究課題

研究課題/領域番号 16K14861
研究機関岡山大学

研究代表者

一瀬 勇規  岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (50213004)

研究分担者 松井 英譲  岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20598833)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード多剤排出ポンプ / 菌体密度感知機構 / MexAB-OprM / MexEF-OprN / べん毛運動能 / タイプIV線毛
研究実績の概要

本研究ではPseudomonas syringae pv. tabaci (Pta) 6605をモデル細菌として、2つの主要な多剤排出ポンプMexAB-OprM, MexEF-OprNの病原力における役割を解析するため、mexB変異株とmexF欠損変異株を作出し、それらの病原力を精査した。これまでmexF欠損変異株は、swarming運動能が低下し、野生株に比べ宿主タバコへの病原力は低下するとのデータが得られていたが、様々な接種法で検証した結果、野生株においてMexEF-OprNの病原力における必要性は低いと判断した。MexAB-OprMについては現在解析中である。広宿主範囲プラスミドベクターであるpDSK519にmexTを組込み、Pta6605に導入して、構成的にmexT, mexEF-oprNの発現を増高させた菌株では、AHLの生産がキャンセルされたことを前年度に明らかにしていたが、今年度はAHL合成酵素遺伝子であるpsyIの発現を解析した。mexT高発現株でのpsyIの発現は低いと考えていたが、予想に反して野生株やpDSK519だけを導入した菌株と同様レベルで発現していた。このことからmexT高発現株でAHLが検出されないのは、AHLが合成されていなかったのではなく、合成されてもすぐに排出されたため蓄積しないためだと推察された。また、mexEプロモーターならびにmexAプロモーターのそれぞれにlacZYA を連結させたキメラ遺伝子を導入し、接種時にそれぞれのプロモーター活性をモニターしたところ、mexA::lacZYAを導入した場合、接種4日後にわずかなβガラクトシダーゼの活性があったが、mexE::lacZYAを導入した場合、βガラクトシダーゼの活性は見られなかった。感染時におけるmexAB-oprM, mexEF-oprNの発現についてはさらなる解析が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

fliC欠損変異株ばかりでなく、motABCD欠損変異株、aefR欠損変異株、gacA欠損変異株でAHLが蓄積されない原因がmexEF-oprNの高発現にあることを、数々のダブルミュータントを作出することにより明らかにした。さらにmexT高発現系の構築に成功し、mexTそしてmexEF-oprNを高発現させるとAHLが蓄積しなくなることを実証した。mexEF-oprNの発現、mexAB-oprMの発現をモニターできるレポーターキメラ遺伝子の作出は終えており、それらを導入した菌も作出済みである。以上のことより、研究課題はおおむけ順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

mexB欠損変異株を用いて、MexABoprMの病原力における役割の解析を終了し、結論を得ることを目標とする。

次年度使用額が生じた理由

薬剤感受性を調べるフランスBioMerieux 社製のEtestなどの輸入に時間がかかったため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] MexEF-OprN multidrug efflux pump transporter negatively controls N-acyl-homoserine lactone accumulation in Pseudomonas syringae pv. tabaci 66052018

    • 著者名/発表者名
      Sawada, T., Eguchi, M., Asaki, S., Kashiwagi, R., Shimomura, K., Taguchi, F., Matsui, H., Yamamoto, M., Noutoshi, Y., Toyoda K., and Ichinose, Y.
    • 雑誌名

      Molecular Genetics and Genomics

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      doi.org/10.1007/s00438-018-1430-9

    • 査読あり
  • [学会発表] Pseudomonas syringaeの菌体密度感知機構の解析(3)PsyRとアシルホモセリンラクトンによる遺伝子発現制御機構2018

    • 著者名/発表者名
      田阪洋昌ら
    • 学会等名
      平成30年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] Pseudomonas syringaeの菌体密度感知機構の解析(4)菌体密度に応じた遺伝子発現制御2018

    • 著者名/発表者名
      中津有紀子ら
    • 学会等名
      平成30年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] Pseudomonas syringae pv. tabaciの運動性と病原性との関連に関する解析2017

    • 著者名/発表者名
      丸山望ら
    • 学会等名
      日本植物学会第81回大会
  • [学会発表] Quorum sensing and MexEFOprN multidrug efflux transporter in Pseudomonas syringae2017

    • 著者名/発表者名
      Ichinose, Y. et al.
    • 学会等名
      Asian Conference on Plant Pathology
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Pseudomonas syringaeの菌体密度感知機構の解析(2)2017

    • 著者名/発表者名
      一瀬勇規ら
    • 学会等名
      平成29年度日本植物病理学会関西部会

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公開日: 2018-12-17  

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