研究課題/領域番号 |
16K14868
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
霜田 政美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, ユニット長 (80344000)
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研究分担者 |
村路 雅彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主席研究員 (20355746)
上原 拓也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (80756023)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | IIBM農業 / 発光ダイオード / 土着天敵 / 天敵温存植物 / 生物間相互作用 / 生物多様性 / 農業生態系 / 分子系統解析 |
研究実績の概要 |
茨城県つくば市の露地圃場においてナスを定植して無農薬栽培試験を行った。各試験区は、茨城県の慣行栽培に則り、ナス12株を定植し、周辺にマリーゴールドやソバなどの天敵温存植物を混植し、殺虫剤を一切使わない無農薬条件下で野菜のIBM栽培の実践と評価を行った。対照区を4試験区とし、天敵カメムシを誘引する紫色LED光源を設置した試験区を4試験区設けた。栽培期間を通じて、各試験区内のナス株上に生息する昆虫種を網羅的にサンプリングし、DNA塩基配列を用いた種同定と被捕食者の解析を進めた。各試験区はソルゴーの壁で区切られており、各試験区を一つの農業生態系に見立てて、目視による昆虫種の網羅的同定と密度調査を行うとともに、捕食者であるヒメハナカメムシ2種とクモ類、テントウ類の腸内未消化DNAの分析を行った。紫色LED光源を設置した4試験区では、いずれもヒメハナカメムシの密度が2倍以上に増加し、クモ類は紫色LED光源を設置した試験区に恒常的に生息し、その数は対照区の2~5倍に達した。これに対して、アザミウマとアブラムシは半減したのに対して、ヨコバイ類はLED光源設置区と対照区で大きな差は認められなかった。発生消長からは、ヒメハナカメムシの増加とアザミウマとアブラムシの密度低下はタイミングがほぼ同じことから、アザミウマとアブラムシの捕食はヒメハナカメムシが支配的だったことが伺える。予定よりも多数のサンプルを採集したため、捕食者の腸内未消化DNA分析が予定よりも遅れている。今後1年以内に、補食・被捕食関係を分析して各試験区における食物網を明らかにする予定である。紫色LED光の照射が圃場昆虫相の相互作用に及ぼす影響を明らかにする。
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