研究課題/領域番号 |
16K14877
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永田 裕二 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (30237531)
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研究分担者 |
津田 雅孝 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90172022)
大坪 嘉行 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (40342761)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | oligotroph / 複合微生物系 / 炭酸固定 |
研究実績の概要 |
本研究では、環境を汚染する難分解性有機塩素系殺虫剤分解細菌株と、その分離源となった分解細菌コミュニティをモデルとして、(1) 分解細菌株と分解能を持たない他細菌株との関係性、(2) 実環境の標準的な条件と考えられる極貧栄養環境下での分解細菌株の生育、の2点に着目し、環境細菌の実環境での「生き様」に関する理解を深め、分解細菌の効果を最大限に発揮するための汚染環境への具体的接種方法の提示など、実環境での環境浄化への応用のための理論的基盤を構築することを目的とした。 本コミュニティは、分解菌TKS株と複数種の非分解菌によって構成されるが、本コミュニティの菌叢構成は数回の植継ぎによっても安定に維持された。また、コミュニティ内での存在割合が高い非分解菌のTKC株とTKP株、および分解菌TKS株の土壌での生残性を調べた結果、TKC株のみ土壌に定着したが、TKS株はTKC株と混合して接種した場合には土壌での生残性を示した。一方、TKC株はTKS株と混合して固体培地に接種すると、TKS株コロニーに向かって細胞増殖し、積極的にTKS株とコミュニティを形成する可能性が示された。さらに、本表現型を示さないTKC株の突然変異株を取得した。 UT26株で観察されたアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子 (adhX) を高発現させると有機炭素源非添加の無機固体培地でCO2の固定を伴ってコロニー形成する現象が、UT26株のみならずTKS株や系統的に離れた細菌株でも観察された。また、本現象に特定のアルコール基質がアルデヒドを経て代謝される過程が関与している可能性が低いと考えられる結果を得た。さらに、adhXの高発現は「起こりやすい」突然変異であることを明示すると共に、発現抑制因子の脱抑制変異が高発現の要因である可能性が強く示唆された。
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