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2016 年度 実施状況報告書

合成生物学的手法を利用した人工生合成経路設計技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K14880
研究機関東京大学

研究代表者

勝山 陽平  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50646437)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードバイオセンサー / 指向性進化 / 酵素 / 生合成
研究実績の概要

XylSをlacプロモーターの下流に配置したプラスミドを構築した。また、Pmプロモーター (XylSにより認識され活性化するプロモーター) の下流にアンピシリン耐性遺伝子とtetR遺伝子からなるオペロンを配置、tetRプロモーターの下流にクロラムフェニコール耐性遺伝子を配置したプラスミドを構築した (プラスミド2)。これらふたつのプラスミドをもつ大腸菌はXylSのリガンドであるm-トルイル酸存在かではアンピシリン耐性、クロラムフェニコール感受性となった。また、m-トルイル酸非存在下では逆にアンピシリン感受性、クロラムフェニコール耐性となった。この大腸菌を利用して、偽陽性を排除しつつ、指向性進化によりXylSのリガンド特異性の改変を目指した。まず、モデル実験としてp-トルイル酸を選択的に認識する変異XylSの構築を目指した。6サイクルの変異実験の結果、p-トルイル酸を優位に認識する。変異XylSの取得に成功した。
また、QdoRを用いて同様のスクリーニング系の構築を目指した。しかし、構築したスクリーニング系では大腸菌が期待通りの薬剤耐性を示さず、リガンドのうむでクロラムフェニコール耐性に大きな差が生じなかった。そのため、転写抑制因子であるQdoRはこのスクリーニングに向かないと結論した。
次に、フラボノイドを認識する転写活性化因子であるFdeRを利用して、III型PKSの環化特異性改変系の構築を目指した。fdeRをlacプロモーターの下流に、クロラムフェニコール耐性遺伝子をFdeR認識プロモーターの下流に配置したプラスミドを構築した。このプラスミドと過去に構築したpET-CHS/CHI, pRSF-ACCを保持する大腸菌p-coumaroyl-NACを与えたところ、クロラムフェニコール耐性となった。このプラスミドを用いることでCHSのエンジニアリングが可能と考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、QdoRを主軸にしたスクリーニング系の開発に取り組んだが、QdoRは転写抑制因子で在り、QdoRを用いた実験を通して、リプレッサーは本実験に適さないことが示された。そのため、新たにフラボノイドを認識する転写活性化因子としてFdeRを導入した。途中、研究対象を変更したため、スクリーニング系の構築に時間がかかった。

今後の研究の推進方策

1. XylSのリガンド認識能の改変    引き続き、XylSのリガンド認識能の改変を目指す。すでに、p-トルイル酸を認識するXylSの取得に成功している。しかし、現状はp-トルイル酸、m-トルイル酸の両方を認識するXylSのみが得られている。バイオセンサーのエンジニアリングに当たって、選択制の進化は極めて重要な課題である。そこで、今後は本スクリーニング系を応用することで、野生型のXylSが認識するm-トルイル酸を認識せず、p-トルイル酸のみを認識しるXylSの構築を目指す。また、p-トルイル酸を認識しるXylSの構築に成功したら、得られた変異XylSをさらにテレフタル酸を選択的に認識するXylSへと変換する。
2. STSをCHS認識XylSへと変換   昨年度構築した系を用い、STSにランダム変異導入し、CHS活性をもつよう変化した変異STSを構築する。
3. テレフタル酸生合成経路の構築   上記二つの課題に成功したら、P450とメチルトランスフェラーゼを利用して、テレフタル酸を生合成する経路の構築を目指す。

次年度使用額が生じた理由

スクリーニング系の構築に時間がかかったため、変異ライブラリー調製に用いる費用が減少したため。

次年度使用額の使用計画

変異ライブラリーの構築に用いる。主に、合成DNAを利用した変異ライブラリーの構築、ランダム変異を導入するためのキットの購入に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 指向性進化による転写因子XylSのリガンド認識能の改変2017

    • 著者名/発表者名
      勝山 陽平、○小川 友希、上野 堅登、大西 康夫
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 発表場所
      京都女子大学 (京都)
    • 年月日
      2017-03-18 – 2017-03-18

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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