昨年度に行ったスクリーニングによりp-トルイル酸を認識するXylSの取得に成功した。しかし、得られたこの変異XylS (XylS-6-1) はXylSの野生型のリガンドである、m-トルイル酸も同程度に認識することが明らかとなった。そのため、選択的にp-トルイル酸を認識する変異XylSの取得を試みた。まず、XylS-6-1の配列を解析した、結果、このXylSには6箇所の変異が導入されていることがわかった。そこで、これらの変異を一つずつXylSに導入し、どの変異が基質認識に影響を与えているか調べた。その結果、これらのうち、3つがp-トルイル酸の認識能の付与に寄与することがわかった。次に、これらのアミノ酸3つに同時に飽和変異を導入したライブラリーを用意し、構築したスクリーニング系を用いて、p-トルイル酸特異的に認識する変異XylSの取得を試みた。その結果、m-トルイルよりもp-トルイル酸を強く認識する変異XylSの取得に成功した。しかしその認識能の差は1.5倍程度であり、今後さらなる改変が必要である。 昨年度構築したFdeRを用いたシステムを用いてCHSのエンジニアリングが可能か検証することとした。しかし、FdeRの認識能を詳細に検証したところ、FdeRはフラボノイドのみを認識すると文献に報告されていたが、それ以外にも様々な芳香族化合物を認識することとが明らかとなった。また、特に深刻であったのが、FdeRが基質であるp-coumaroyl-NACも認識したてんである。そのため、CHSのエンジニアリングを行うためにはまず、FdeRのエンジニアリングが必要であることが示された。そのため、FdeRを用いたCHSのエンジニアリング研究には至らなかった。
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