研究課題/領域番号 |
16K14881
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平沢 敬 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (20407125)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 微生物 / 有用物質生産 / 定常期 / 代謝制御 |
研究実績の概要 |
微生物を用いた有用物質生産において、宿主細胞の増殖が停止する定常期で目的物質を生産させる手法は、投入した炭素源や窒素源などの資源を効率よく目的物質生産に利用することができる技術として注目を浴びている。本研究では、微生物細胞による定常期での有用物質生産技術の開発に向け、培養液に添加するだけで微生物細胞を定常期へと導き、かつ増殖が停止しても目的物質生産のための糖代謝活性を維持させることを可能にする化合物を探索する実験系を構築する。そして、実際に化合物の探索を行い、探索された化合物がどのような作用機作で微生物細胞を定常期へと導くのかを解明するとともに、有用物質生産への効果を検証する。 微生物細胞を定常期へと導き、かつ増殖が停止しても目的物質生産のための糖代謝活性を維持させる化合物の探索に向けて、探索に用いる検定菌を構築する必要がある。本研究では、糖代謝活性に連動して発現する遺伝子のプロモーターの下流にβ-ガラクトシダーゼをコードするlacZ遺伝子などのレポーター遺伝子を連結し、微生物細胞に導入することで構築した組換え株を検定菌として用いる。 このような検定菌の構築に向けて、大腸菌において炭素源の取り込みにかかわるタンパク質 (ptsG、ptsオペロン)や解糖系における代謝調節にかかわる重要な酵素をコードする遺伝子 (gapA、eno、pfkA)のプロモーター配列にlacZ遺伝子を連結させた遺伝子を持つ低コピープラスミドのプラスミドを構築し、β-ガラクトシダーゼ活性の測定に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大腸菌において炭素源の取り込みかかわるタンパク質や解糖系の酵素をコードする遺伝子のプロモーター配列にレポーター遺伝子を連結させた遺伝子を持つプラスミドのプラスミドの構築は完了し、β-ガラクトシダーゼ活性の測定に着手した。しかしながら、定常期において高い活性を示すプロモーターの発見には至っていない。活性測定のための培養条件の最適化が必要となると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
β-ガラクトシダーゼ活性測定のための培養条件の最適化を行い、定常期において高い活性を示すプロモーターを早急に探索するとともに、検定菌を用いた既知化合物での探索に着手する。また、探索された既知物質により処理した細胞について、定常期での糖消費の測定を試みる。
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