ゲノムの構造維持機構として、メチル化とトランスポゾンに着目して挑戦的な研究を行った。バクテリアにおけるエピジェネティクスは、近年ようやく注目され始めたが、増殖制御との関連は全く知られていない。本研究において、枯草菌の胞子形成期には、栄養増殖期と異なるメチル化パターンが確認された。一方、枯草菌の挿入配列(IS)転移機構の解析では、大腸菌における知見とは異なり、RecAに完全に依存することを解明した。その必須機能は相同組換え能ではなく、ATP加水分解能であった。また枯草菌168株ゲノムは、例外的にISが存在しないが、トランスポゼースをターゲットに変異を導入し、転移を抑制する機構が示唆された。
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