研究課題/領域番号 |
16K14896
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮崎 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80712489)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 微生物 / 遺伝子発現 / ライブイメージング |
研究実績の概要 |
近年の一細胞レベルの解析技術の進展によって、同一環境下で培養したクローン細菌集団であっても個々の細菌細胞レベルでは表現型に多様性があり、それが細胞集団全体の機能やフィットネスにアドバンテージをもたらすことがわかってきている。本研究は、これまで主に実験室の制御されたモデルシステムを用いて研究されてきたこのような表現型の不均一性を自然環境下で観察・モニタリングし、その進化生物学的意義の解明に挑むものである。当該年度の当初の予定では、モデルとして用いる緑膿菌のレポーター株を、micro-chipを設置した各種環境サンプル上で培養し、長時間time-lapse観察の条件検討ならびに画像解析を進める予定であった。まず、レポーター株を培養するために国内で様々な環境試料のサンプリングを行い、結果として茨城県内の湖底汚泥を用いることで安定してレポーター株の挙動を顕微鏡観察することができた。しかしながら、レポーター株の分裂回数が予想より少なかったため、遺伝子発現のゆらぎを統計的に評価するには細胞数が少なすぎた。また、本micro-chipと本環境試料の組み合わせを用いた場合に、非特異的な蛍光ノイズがいくつかのwellで出現したことから、培養システムあるいは画像解析の行程に一部改良が必要であることがわかった。現在は、当初のmicro-chipに改良を加えた新しいマイクロデバイスを独自に開発し、より安定した画像解析システムの構築を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境試料の性質上、細胞分裂回数に限界があり、また画像解析の工程にも不具合が見つかったため、統計処理までには至らなかったが、当初の予定通り、環境サンプル上での長時間time-lapseイメージングに成功し、本研究目的に向かって着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
環境サンプルならびに培養条件の再検討を行い、統計処理に必要な細胞数を得る条件を見出す。また、マイクロデバイスおよび画像処理システムの改良を行い、イメージに含まれる非特異的ノイズを除去することで画像解析を可能にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究の結果をもとに、年度途中から高価な市販のmicro-chipを利用せず、自作のより安価なマイクロデバイス作製に切り替えたため。 使用計画:新しいマイクロデバイスの作製費、ならびに新たな環境試料のサンプリング(旅費)に使用する。
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