放線菌由来の抗腫瘍性抗生物質ネオカルチノスタチン(NCS)の活性本体であるクロモフォアの9員環エンジイン骨格には炭素間三重結合が2つあり、その生合成には、12種類の酵素が関与すると考えられている。今年度は、昨年度に引き続き、7種類の酵素に関して、構造解析に適した結晶を得るための検討を進めた。その結果、1種類について、構造情報が得られる可能性があることがわかった。また、発現量や安定性に問題のあったその他の酵素について、発現系などを検討したが、進展が見られなかった。 クレペニン酸の合成に関わる2種類の酵素に関して、発現系の構築などを再検討した結果、純度の高いタンパク質を得ることが出来たため、構造解析に適した結晶を得るための予備検討を開始した。 昨年度クローニングしたアセチレナーゼ様酵素について、タンパク質の発現に用いるベクター数種に入れ込み、適当な大腸菌に導入した後、該当するインダクション法により酵素タンパク質を誘導発現させた。その結果、一定量のタンパク質を発現させることに成功した。今後は、適当な精製法を確立し、構造解析のためのタンパク質を調製する予定である。また、昨年度と同様に、関東地方に生育する十数種の植物体から新鮮な葉を採取し、DNeasy Plant Mini Kit外を用いてゲノムDNAを抽出した。これらと適当なプライマーを組み合わせて行ったPCR産物から、アセチレナーゼと推測される酵素を数種類クローニングした。
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