研究実績の概要 |
デング熱は、デングウイルス(以下「DENV」)が原因の感染症であり、現在実用化されているワクチンはない。本研究では、申請者が独自で開発してきた先駆的バクミド技術を基盤とし、デングウイルス様粒子(Dengue virus-like particle、以下「DENV VLP」)の表面上に多価抗原を提示させるため、下記の研究を行った。 1.DENV VLP発現用バクミドの作製とカイコでの発現:DENV VLPの形成に必要なPrMとEを用いた。異なる血清型のDENV株RNAから逆転写反応でDNAを得て、それぞれの血清型のPrM-E1~PrM-E4の配列をPCRで増幅し、ポリへドリンプロモーターの下流に分泌用Bxシグナル配列、精製用タグ及びPrM-E1~PrM-E4を連結し、pFastbac1にクローニングした。一方、各血清型のVLPの発現を検出するために、それぞれ異なる精製用タグ(FLAG,HIS,Strep,PA)を使用した。pFastbac1をE. coli Bm DH10Bacに形質転換し、組換えBombyx mori nucleo-polyhedrovirus (BmNPV)バクミドを作製し、BmNPV /PrM-E1、-E2、-E3、-E4 bacmidと命名した。 2.カイコでDENV VLPの発現:得られたバクミドを5齢カイコに注射し、4~7日間飼育した後、カイコから体液を回収し、それぞれのバクミドを単一発現させると、血清型1、2、3、4の4種類の単価DENV VLPが得られる。この発現系を検証するために、血清型1種類について調べたところ30 kDaのみ確認され、PrM-E全長ではなかった。 上記の結果から、発現ベクター及び発現系の再確認を行う必要がある。
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