研究課題/領域番号 |
16K14904
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
榊 利之 富山県立大学, 工学部, 教授 (70293909)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ルシフェラーゼ / ビタミンD受容体 / 高感度検出系 / GFP |
研究実績の概要 |
ビタミン D 受容体のリガンド結合領域(LBD)の両端に分割型ルシフェラーゼ(Luc)あるいは分割型 GFP を配した種々の構造を持つ融合タンパク質を培養細胞内で発現させ、高感度で活性型ビ タミン D を検出できるものを選抜する。これらを種々の培養細胞内で発現させ、活性型ビタミン D (天然型および合成誘導体)の生成、分解過程を解明する。 28年度は新規Luc-LBDの開発に注力した。培養細胞を用いた発現系においては、CYP27B1との共発現により、活性型ビタミンD3の生成を観察することができた。活性を失った変異型CYP27B1(くる病患者由来)では活性型ビタミンD3の生成(発光変化)が見られなかったことから、種々の変異型CYP27B1の活性評価系としての有用性が明らかになった。また、培養条件の検討によりLBD-Lucを大腸菌で発現させることに成功した。組み換え大腸菌を破砕し、細胞上清を用いることにより、VDRアゴニストおよびアンタゴニストを短時間で検出できる。このシステムは簡便で低コストであるため、きわめて実用性が高いと考えられる。凍結融解を繰り返しても安定であることから製品化が可能であると考えられる。これまでに得られたものはVDRのアゴニストが結合すると発光強度が下がり、、アンタゴニストが結合すると発光が増すタイプであったが、アゴニストが結合すると発光が著しく増加する新規Luc-LBDの開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ルシフェラーゼを用いたシステムにおいては、計画以上の進捗が見られた。特に、大腸菌での発現に成功したことで、細胞を使わずに評価できることから、きわめて実用性の高いシステムが完成したといえる。また、アゴニストが結合すると顕著に発光が増加するタイプはまさに本研究において目標としていたものである。一方、GFPを用いたシステムについては着手しておらず、総合的な評価として、おおむね順調と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
Luc-LBDを大腸菌内で発現させるべく種々の条件検討を行ったがうまくいかず、あきらめかけていたところでの成功であったため、是非、実用化を目指したい。従来の検出系に比べ、感度、簡便性、コストすべてにおいて優れている。GFP-LBDのシステムについてはこれからスタートすることになり、期間内にGFP-LBD発現ラットの作製まで到達することは困難と思うが、GFP-LBDシステムの有用性を探るためにLuc-LBDで実施した種々の検討を試みる予定である。
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