研究実績の概要 |
分割型ルシフェラーゼの技術を用いて、VDRリガンドを高感度に検出するバイオセンサーを開発した。本バイオセンサーは、VDRのリガンド結合領域(LBD)のN末およびC末側に、分割したルシフェラーゼのN末領域(LucN)およびC末領域(LucC)を連結した融合タンパク質であり、1,25Dやその誘導体がバイオセンサー内のLBDに結合すると構造変化に伴って、近接していたLucNおよびLucCの位置が離れルシフェラーゼの発光が減少あるいは増加する仕組みである。昨年度、発光が増加するタイプのバイオセンサーの開発に初めて成功した。今年度はLucNと(GGGGS)3リンカーの間にLXXLL配列を挿入したLucN-LXXLL-(GGGGS)3-LBD-LucCバイオセンサーを新たに作製したところ、アゴニストに応答して発光量が増加した。これらのバイオセンサーは、1分子内の構造変化によって発光が変化するタイプであることから、1分子型と呼ぶ。また、CYP27B1タンパク質と改良型のバイオセンサーを共発現させたCOS-7細胞を用い、野生型および変異型CYP27B1の酵素活性を短時間で評価することに成功した。さらに、アゴニスト結合後のLXXLL配列とLBD間の相互作用に着目し、LucN-LXXLLとLBD-LucCの2つの分子からなるバイオセンサーを開発した。このタイプのバイオセンサーは2分子間の相互作用によって発光が変化することから2分子型と呼ぶ。2分子型では、アゴニストに応答してバイオセンサー内のLXXLL配列とLBD間相互作用が生じる際に、LucNとLucCが再構成されて発光が復活することが確認された。
|