研究課題
本研究の目的は、生体内エネルギー状態に応じた遺伝子発現の制御機構を理解することにあり、特に、エピゲノムレベルでの制御の可能性を検討する。具体的には、摂食時に発現が上昇する遺伝子に関して、転写因子の活性制御だけでは説明のつかない遺伝子に着目し、ヒストンアセチル化やメチル化等のヒストンコードやDNAメチル化状態について解析を行う。はじめにマイクロアレイを用いて網羅的な遺伝子発現解析を行い、その結果を用いてエピゲノムレベルでの解析を進める。さらに、見出したエピゲノム制御と病態との関連についても解析を行う。昨年度に明らかにした結果をふまえ、本年度は再摂食により発現が持続的に変動した遺伝子に着目し、それらの転写制御機構を解析した。具体的にはSaa1(Serum amyloid A1)遺伝子やPgd(Phosphogluconate dehydrogenase)遺伝子等の標的遺伝子のプロモーター領域をクローニングし、各種核内受容体やSREBPによる制御の可能性を検討したが、制御機構の同定には至らなかった。現在、さらに上流のプロモーター領域およびイントロン配列に着目し解析を継続することに加え、再摂食時に活性が変動する他の転写因子の関与についても解析を行っている。また、アセチル化ヒストン(H3K9, H3K14)およびメチル化ヒストン(H3K4me1, 2, 3)認識抗体を用いてChIPアッセイを行い、絶食および再摂食時における標的遺伝子プロモーター領域のヒストン修飾レベルを測定し、来年度の解析に向けた基礎データを得た。
2: おおむね順調に進展している
来年度に向けた基礎データを得ることができた。
当初の研究計画の流れに従い、研究を推進していく。
評価系の確立が当初の予定よりも時間がかかり、来年度にずれ込んだため。来年度に予定している計画に加えて実施する。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
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