研究課題/領域番号 |
16K14921
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮浦 千里 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20138382)
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研究分担者 |
平田 美智子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (40544060)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロコモティブシンドローム予防 |
研究実績の概要 |
① 尾部懸垂マウスへの食品成分の投与 尾部懸垂マウスでは、懸垂から2~4 週後に骨量と筋量が減少する。雄マウスを用いて尾部懸垂を実施し、対照マウス(尾部懸垂なし)を用意し、各群のマウスの一部に、キサントフィルを経口投与した。その結果、キサントフィル投与により、尾部懸垂による骨量減少が軽減することが明らかとなった。 ② 骨と筋の機能解析 尾部懸垂マウスを用い、経日的に、骨量と筋量は生体用3 次元CT により大腿骨を用いて同時測定し、尾部懸垂の影響が出る位置が骨と筋で一致しているか解析した。筋力については、マウス筋力測定装置により測定した。歩行パターン解析は、歩行機能解析システム(GAIT)を用い解析した。懸垂後、1 週後ならびに2 週後、上記の生体計測を実施した後にマウスを屠殺し、四肢の骨(大腿骨および脛骨)を採取して、DEXA により骨密度を測定すると共に、小動物用の3 次元マイクロCTにより骨形態計測を実施した。四肢の筋肉もマイクロCTにより形態計測を実施した。これら解析により、尾部懸垂による骨と筋の機能変化を生体マウスで評価するロコモ評価法を確立した。 ③ “質量分析イメージング”を用いた解析 後肢の骨と筋から切片用標本を作成して凍結保管し、質量分析イメージング装置を用いて、各種成分の組織内分布解析法を検討した。実際に投与した成分が組織に局在している量と分布画像を取得した。骨組織の切片を用いた質量分析イメージングの成功は世界初めての成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・尾部懸垂モデルを用い、生体マウスCT解析によって骨と筋を同時解析する方法を確立したこと。 ・骨と筋の質量分析イメージングの解析法を1分子対応同定で成功したこと。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の成果をふまえ、平成29年度は、尾部懸垂マウスに、ルテインとカテキンを併用経口投与する実験を行なう。骨と筋の計測、生体用CT による骨と筋の同時解析、歩行パターンと自発運動量を計測する。懸垂3~4週後に、生体による計測の後にマウスを屠殺し、摘出した大腿骨を用いた骨密度・骨量・形態計測、腓腹筋・ヒラメ筋を用いた筋量・組織解析を実施する。2成分の併用効果について、初年度に作成したロコモ評価基準により評価する。質量分析イメージングを用い、2成分を併用投与した骨と筋の組織を用いて、2成分の同時検出と組織内分布画像の取得に挑戦する。また、質量分析イメージングにより、併用投与した2 成分を組織内で同時検出し、組織分布画像の取得に挑戦する。ホウレン草パウダーと茶飲料の併用摂取試験を実施する。この試験により、両食品中の2 成分の含有量から有効摂取量を試算し、ロコモ予防に画期的効能を有する機能性食品開発の基盤データを得る。ルテインや茶カテキンを活用したロコモ予防に有用な機能性食品の開発を目指す。
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