研究課題/領域番号 |
16K14923
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀尾 文彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20165591)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ビタミンC / 大量投与 / 敗血症 / 救命効果 / 抗炎症 |
研究実績の概要 |
Lipopolysaccharide(LPS)投与する群と、LPSと同時にビタミンC(VC)を大量投与(最小必要量の100倍量を静脈内注射)する群を設けて、LPS投与後の生存率と炎症性障害に対する大量VCの静脈内投与の改善効果の検証を試みた。 平成28年度はVC合成不能のODSラットを用いた実験のみを実施した。 【実験1】LPS投与と同時に行う大量VC投与のラット生存率改善効果 5週齢のODSラット(雄)を、最小必要量のVC添加(300 mg/kg)飼料で10日間飼育後に、LPS(15mg/kg body wt.)を腹腔内に注射する群(LPS群)と、LPS投与(15 mg/kg body wt.)の直前に大量VC(1,000 mg/kg body wt.)を静脈内投与する群(LPS+VC群)を設けて、LPS投与後48時間の生存率を経時的に比較した。この実験を3回の実験を繰り返した。合算したLPS投与群の生存率は38.9%であったが、大量VC投与はこの生存率を有意に改善した。 【実験2】実験1と同様の2群を設けて、LPSの投与後、2時間、6時間および10時間でODSラットを屠殺して、各組織を採取した。現在も解析中であるが、今までに得られた結果は、大量VC投与はLPS投与による血中ALTとAST活性の上昇を抑制したことから、LPS投与による肝障害を改善したことが推定された。そして、肝臓切片のHE染色像を観察したところ、LPS群では萎縮した核を持つ壊死細胞が見られたが、LPS+VC群ではその領域の現象が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに、VC合成不能のODSラットでの大量VC投与のLPS誘発性敗血症救命効果を証明することができた(実験1)。さらに、LPS投与による肝臓障害を大量VC投与が抑制することを示唆するデータも得られた(実験2)。この実験1と同様の実験を、VC生合成可能なマウス(C57BL/6J系統)を用いて行うことが当初の研究計画であることから、この実施が遅れており、早急に実施を計画する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の研究成果から、大量VCの静脈内投与がLPS誘発性敗血症での救命作用を発揮することが示されたので、今後は大量VCの経口投与が同様に救命効果を発揮するかを検証する。効果が証明されれば、より日常的な摂取法である経口でのVC大量摂取も敗血症での救命効果を有することが証明できる。さらに、これに続いて、大量VCの救命作用の機構についても白血球等を用いた解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の実験計画に組み込まれた、ビタミンC(VC)生合成可能のC57BL/6Jマウスを用いたVC大量投与のLPS誘発性敗血症における救命効果の検証をする実験の実施が遅れたために、この実験に必要な研究費として、この助成金が生じています。
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次年度使用額の使用計画 |
C57BL/6Jマウスを用いて、大量VCの敗血症での救命効果を検証する実験を行うために、以下の消耗品代として使用する。 マウス代(40匹分)8万円、試薬代 20万円
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