近年、食品機能に関する研究が多く行われており、多くの機能性食品成分が同定されている。これらの食品成分に関する研究は多くの場合、機能面にのみ焦点が当てられており、体内動態に関する研究は単一成分のみに限られている場合がほとんどである。一方で、分析技術の発展に伴いメタボローム解析による化合物の一斉検出・同定技術が急速に高まってきている。しかし、機能性食品成分研究におけるメタボローム解析の導入はほとんどなされていない。 本研究ではこのような食品機能研究の現状を鑑み、機能性食品成分の体内動態解析・作用機構解析におけるメタボローム解析技術の有用性を明らかにし、機能性食品研究におけるメタボローム解析導入のモデルケースを確立することを目的とし、研究を進めてきた。 特に本年度は、温州みかんに含有される成分であるβクリプトキサンチン(β-CRP)に着目し研究を進めてきた。β-CRPはマウスに摂食させることで、主に脂肪組織において熱産生に重要な因子であるUCP1の発現制御等により代謝異常の改善に一部寄与することを見いだしている。本研究成果は、現在原著論文として学術誌に投稿し、現在リバイス対応中である。また、β-CRPの生体内における動態解析については、別途研究代表者らが所属する研究グループで確立したメタボローム解析技術を応用し、詳細な解析を進めた結果、β-CRPの代謝産物と推定される成分が多数生体内に存在することを見出した。
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