研究課題/領域番号 |
16K14931
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研究機関 | 大阪市立環境科学研究所 |
研究代表者 |
浅川 大地 大阪市立環境科学研究所, 調査研究課食品保健グループ, 研究員 (80470251)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マトリックス効果 / LC/MS / 多変量解析 / 食品科学 |
研究実績の概要 |
多変量解析に必要なパソコンとソフトウェア環境を整備した。予備解析として、養殖魚中の動物用医薬品類を液体クロマトグラフエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析計(LC-ESI-MS/MS)で測定したデータの多変量解析を行った。その際に、測定機器に取り込まれた暗号化データファイルを多変量解析用行列データに変換する手法を確立した。解析ソフトと各種ツールを使用して生成した行列データの解析条件を検討した結果、Multivariate Curve Resolution Alternating Least Squares (MCR-ALS)モデルをAugmentationモードで使用することで、LC-ESI-MS/MSデータの定量解析が可能であった。多変量解析によって定量した養殖魚中のヒドロコルチゾン濃度は、一般的に利用されている検量線法によって定量した濃度とほぼ一致しており、解析の妥当性が示唆された。予備解析によって、データ変換手法や基本的な解析条件が確認されたため、これらを利用して本解析を進めることが可能になった。 次に、幅広い動物用医薬品類を評価対象にするために、従来実施していた逆相カラムを使用した測定法に加えて、親水性相互作用カラムを使用した測定方法を開発した。開発した測定法におけるアミノグリコシド系抗生物質のマトリックス効果を確認したところ、食品種類や前処理方法によってマトリックス効果が異なることが確認された。そのため、開発した測定方法も本研究によるマトリックス効果抑制手法開発のモデルケースに利用可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用予定であった吸光光度検出器(PDA)と蛍光光度検出器(EEM)が年度末に更新されることになったため、更新後に測定システムを構築することにした。その間に、多変量解析による予備解析と食品試料中の動物用医薬品の前処理法と測定法の開発を行っており、全体的な進捗状況は概ね予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
新たに整備されたPDAとEEMをLC-ESI-MS/MSに組み込んだ測定システムを構築する。すでに、機器を接続して試用しており、今後速やかにシグナル取り込み時間間隔や測定レンジなどの測定条件について検討を行う。また、多変量解析に用いる測定データは、食品検査業務で調製する試料溶液を利用することで、効率的かつ計画的にデータを蓄積することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定であった機器の更新時期が年度末になり、測定システムの構築を一部次年度に実施することにしたため、システム構築に係る経費を次年度に使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
経費の使用時期は平成28年度から29年度に変更するが、使用目的は当初の予定通り、測定システムの構築に利用する。
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