研究課題
挑戦的萌芽研究
食品中の農薬や動物用医薬品の一斉分析等を行う際に測定阻害をもたらす、液体クロマトグラフ質量分析計におけるマトリクス効果の抑制に対する新規アプローチを行った。新規分析法の開発や各種検出器データを多変量解析可能な行列データに変換する手法を確立した。本研究によって、イオン化を阻害する夾雑成分の存在に加えて、移動相組成の変化や測定対象化合物のイオン化電圧もマトリクス効果に大きな影響を与えることが示された。マトリクス効果を効果的に抑制するためには、これらの要素を考慮する必要がある。
分析化学
異なる検出器データを統合して多変量解析を行うことで、従来とは異なる知見が得られることが示された。本研究の進展によって液体クロマトグラフ質量分析法のマトリクス効果が抑制されることで、食品中の残留農薬や動物用医薬品の分析精度が向上し、安全な食品の流通に貢献することが期待できる。また、マトリクス効果を抑制して信頼性の高い測定値を得ることは、食品科学のみでなく多くの研究分野での共通課題であるため、他分野への貢献も期待できる。