前年度に引き続きスマートフォンOSにおいてシェアが高いiOS、Androidのクロスプラットフォームベースで森林計測用アプリの開発および現地における精度検証を実施した。前年度に設定した検証用の対象林分についてアプリによる計測を試行した。また、一般ユーザーを想定し、測定未経験者約40名を対象としたモニタテストを実施した。その結果測高について精度は加速度センサの特性に依存し、モニタテストの結果でも操作方法に習熟しないと精度が得られないことが確認された。角度測定についてはドリフト対策のフィルタを組み込む必要がある。ポイントサンプリングについては既往の測定機器と遜色ない精度が得られた。GNSSの位置測位、小班判定については実用性が確認された。方位測定に関しては地磁気センサの精度が測量には不十分であった。クロスプラットフォーム開発についてはアプリ開発の効率は高くなったが、本研究のアプリのようにハードウェアの機能を活用するものについては、結果的にそれぞれのOSに最適化するための煩雑な調整が不可欠である。また、多様な端末ごとに搭載されているセンサやカメラに差がありキャリブレーションが不可欠である。キャリブレーションについてはアプリの機能として対応可能な部分もあるが限界もあり課題といえる。また、比較的OSアップデートの頻度が高く対応が難しい点、アプリ公開について審査やディベロッパー登録の煩雑さも開発上の問題である。データベースの機能としてSQLサーバに対応しておりオンライン/オフラインどちらでもデータの参照、追加、更新が可能である。現場での計測時に過去のデータを参照したり、計測結果を即時にデータベースに反映させることも可能となる。本研究により計測機器、野帳、データベースをスマートフォンに統合する可能性を示すことができた。
|